研究内容

テーマ1:α-オレフィン重合触媒の開発


エチレンやプロピレンといったα-オレフィンから、工業材料として重要なポリエチレンやポリプロピレンといった高分子を製造するための触媒について研究しており、その中でも省エネルギーで環境負荷の小さい気相重合プロセスに適用できる高性能触媒の開発を行っています。
 

粘土鉱物層間固定化触媒及び担持触媒の研究

後周期遷移金属錯体は、骨格上の置換基をチューニングすることで様々な分子量のα-オレフィン重合が可能となる触媒です。本研究室では、層状粘土鉱物と後周期遷移金属錯体を組み合わせた新規不均一系触媒の開発に取り組んでいます。層状粘土鉱物をホスト化合物として、その層間にゲスト分子である種々の後周期遷移金属錯体を固定化した層間固定化触媒は、空気中で不安定な従来の有機金属錯体触媒と比較して、ハンドリング性とプロセス適性に優れる新しい触媒です。
 

 

Recent Study

Modern Research in Catalysis (2017), 6(2), 100-120.          
"Simple preparation of halogen-substituted a-diimine nickel complexes immobilized into clay interlayer as catalysts for ethylene oligo-/polymerization"
By Yoshida-Hirahara, Miru; Fujiwara, Shiori; Kurokawa, Hideki

本論文では、エチレン重合及びオリゴメリゼーションにおける不均一系触媒の錯体構造が触媒性能に与える効果を調査しました。本研究室で開発したワンポット反応を用いて、アセナフテンキノンを基本骨格とする9種類の層間固定化Ni(II)錯体触媒を調整しました。イミノフェニル基のオルト位又はパラ位にハロゲン基を導入した触媒を調整し、中心金属の電子状態が触媒性能に与える影響を調査しました。
Journal of Molecular Catalysis A: Chemical(2016), 425, 275-282.
"Ethylene oligomerization using quinoline-imine nickel(II) complex immobilized in fluorotetrasilicic mica interlayer by one-pot preparation method"
By Yamanaka, Hideki; Yamamoto, Kazuhiro; Sakuragi, Tsutomu; Ohshima, Masa-aki; Nagashima, Sayoko; Kurokawa, Hideki; Miura, Hiroshi

本論文では、エチレンオリゴメリゼーションに用いる不均一系有機金属錯体触媒の簡便な合成法を報告しました。本研究室で開発したワンポット合成法は、キノリン誘導体、アニリン誘導体、及びNiイオン交換フッ素マイカを出発物質として、キノリン-イミンNi(II)錯体の合成及び粘土鉱物層間への固定化を一段階プロセスで行います。合成プロセスを簡略化できるほか、取扱いの難しい有機金属錯体を単離、精製することなく固定化可能とするといった利点があります。

 

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