Center for Research and Training on International Development

国際開発教育研究センター      

インターンシップ体験記


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長妻 美智子 (GY6期生・経済学部/右中央)
実施国:タイ

私は、タイ人の父と日本人の母の間に生まれ、将来は自分の語学力を生かした仕事をしたいと思っています。それにはまず、企業が海外でどのような活動を行っているのかを具体的に知るべきだと思い、タイにある日系企業KU. NOMURA THAI LTD.で2週間、インターンシップを行いました。専攻が文系であるため、主な業務内容は営業訪問や製品の見積もり、発注作業などの事務作業でした。取引先訪問では、タイ人従業員と日本人駐在員の通訳として話す機会が多くあり、とてもやりがいを感じました。外資系企業との商談では、すべての会話が英語で行われ、とても刺激的な時間でした。見積作成では、他製品と使用している材料の違い、新機材の導入、生産可能数の増量、顧客の購入履歴など細かい所まで考慮し、価格設定を行い、発注作業では、在庫の量や納期など細かいミスに注意し期限までに終わらせるように作業を行いました。このような経験は初めてであったため、ビジネスマナーやテクニックなど、今後社会にでる上でとても良い勉強になりました。インターンシップ最終日に、私が配属していた営業部署の働き方をテーマに改善案を発表する会が予定されており、2週間だけですがタイと日本のオフィスの違いを目の当たりにしました。もっとこうしたら良いのではないか、これは良い方法だ、これはあまり良くないのではないかなど、気づいたことや感じたことはありましたが、タイ人特有の働き方を知ることができました。とくに、タイの職場はとても和気藹々とした雰囲気であり、仕事のストレスが溜まらないような環境であるといわれています。実際に、私も現地の方々といて、楽しさを感じる働きやすい場でありました。しかし、その一方でけじめをつけるのが難しく、緊張感がない仕事の場であることも感じました。日本のやり方をそのまま押し付けるのではなく、タイの働き方の良いところを生かしながら、よりよい職場環境をつくりあげていければ良いと思いました。「今回のインターン生は、現地従業員の人たちとたくさんコミュニケーションをとっていて、皆が楽しそうにしているのは、見ていてとても嬉しかった。」インターンシップ最終日に、日本人駐在員の方に言われたことは、今でも心に残っています。言葉の壁を乗り越えることは、コミュニケーションをとるために求められるひとつであると思いますが、それよりも自ら積極的に聞きに行ったり、調べたり、行動することが大事であることは、今回のインターンシップを通じて一番に感じました。








  
















坂本 雅咲(GY7期生・教養学部/左)

実施国:インド、タンザニア

今回のインターンシップでは幸運なことに2か国に渡航するチャンスを得、両国ともJICA事務所様にて実習を受け入れ頂いた。大国インドではその重厚な文化の織り成す独特な雰囲気の中で驚嘆する光景を幾度となく目にして大変に刺激的であった。自ら決めた女性のエンパワーメント・母子保健に関する調査では、デリー市内を中心に活躍するNGOを訪問し、職員の方々とその支援を受けているスラム街のお母さん方にインタビューを行き、またウッタラカンド州デラドゥン市にて最下カーストのコミュニティからなる2つの村で養蚕農家の女性の自助グループまたは個人農家を訪問し、こちらでもインタビューをさせていただいた。これらの調査では彼女たちの抱える問題を考察すること、またNGOや青年海外協力隊員の活躍を直接目で見ることができた。調査を通して特にインタビュー調査の難しさ、インドにおける大きな文化的、宗教的壁を実感した。タンザニアでは首都ダルエスサラームよりセスナ機で1時間40分の地方都市ドドマにて、地方自治体行政強化プロジェクトである、Opportunity & Obstacles for Development (以下O&OD)のフェーズ2を実施する専門家チームのオフィスで実習を受け入れていただいた。 ドドマは首相官邸や国会議事堂が位置する行政上の首都と呼ばれている、長閑でまだまだ未発達だが心地の良い都市である。実施内容としては専門家の方々の出張にご一緒して村へ調査に行ったり、各イベント毎のリフレクションミーティングに参加させていただいたりして、この実習を通してタンザニアの発展のためのポテンシャルを肌で感じることができたと感じている。二か国を比較すると面白いものが見えてくる。二か国はアジア大陸とアフリカ大陸で相当の距離がある。しかし、タンザニアにはインド人の方が多く住んでいるし、食べ物のタイプもお互いに案外似通っている。布を体に巻き付ける民族衣装(インドではサリー、タンザニアではカンガ等)も似ていると感じた。このように文化的共通点はたくさんあるが、正反対なこともたくさんだ。国民性などは異なっていて、インドの人びとは我が強くて一度しゃべり始めると止まらない、プライドがかなり高いなどといわれるが、タンザニアにおいては平和的で辛抱強く常に明るい。主な共通点相違点を挙げたがどちらの国も同じくらい魅力的で素敵な国であり、この二か国にて行ったインターンシップで得たものは計り知れない。今後一生の思い出になること間違いなしである。この機会を得ることができたのはGYプログラムのおかげであり、改めてGYプログラムに参加することができてよかったと思っている。


立川 友菜 (GY7期生・教養学部/中央)
実施国:ラオス

サバイディー!私は 2017年8月から1か月間、ラオスのパクセのノンパイ村で栽培されている「バタフライピー」をハーブティーとして商品化するODOPのプロジェクトに関わってきました。バタフライピーは、東南アジア原産できれいな青い花が咲くことで有名です。アントシアニンを豊富に含んでいるため、眼精疲労やアンチエイジングなどの効果を持ち、ハーブティーとして飲まれています。そのバタフライピーを商品化することで、ラオスの貧しい農家の生活をサポートすることが目的です。商品化するために、ラベル作成やパッケージの決定、生産農家調査などを行ってきました。私は、実際にパクセの生産農家を訪問し、生産過程を調査してきました。バタフライピーは、無農薬で有機栽培されており、農家さんの手で丁寧に収穫されていました。その後、首都のビエンチャンに戻り、スタッフの協力を得て製品を完成させることが出来ました。この商品は日本で販売することを目的に作られたため、これからネットで販売されます。しかし、ネット販売だけでは広まらないので、私は自ら販売していこうと決意しました。バタフライピーはお茶だけでなく料理やドリンクとしての使い道もあるため、そのことを活かして販売を進めていきたいと思っています。このインターンでラオスの魅力を肌で感じることが出来たので、今後バタフライピーを通してより多くの人々がラオスの生活や文化にまで興味を持ってもらえるように販売していきたいです。




  
















大谷 彩瑛(GY7期生・教養学部/中央)

実施国:キルギス共和国



皆さんはキルギスという国を知っているでしょうか。キルギスは中央アジアに位置する旧ソ連国であり、豊かな自然と近代化した都市を併せ持つ、素晴らしい所が多くある国です。その一方で、産業基盤の不安定さやコミュニティ間のつながりの薄さといった深刻な問題も多く抱えており、それらが貧富格差や人材の国外流失、不安定な市場経済などにつながっています。そこで2010年、キルギスが元来持つ潜在性を引き出し、自立した産業定着を目指す一村一品運動、通称OVOPプロジェクトがJICAによって始められました。相手国政府に向けた単なる資金援助ではなく、民間経済に向けた、自発性を生み出すための援助であるところに魅力を感じ、今回私は8月から9月にかけての1か月半の間、このプロジェクトにインターンとして参加させて頂きました。プロジェクト商品と海外の競合商品との価格や特長の比較調査、商品の販促方法提案、商品を生産する村の視察、ショップでの接客などが主な活動内容でした。これらの活動を通して、日本人とキルギス人の仕事の詰めの部分の違いを感じました。商品の生産高・売上高のデータが管理されていなかったり、同じ商品でも価格の表示がされているものとされていないものがあったりと、日本では当然のようになされていることができていない面がしばしば見られました。一見それほど重要でないことのように思えても、そういったことを徹底することによって、売り上げ増加のための効率的な生産ができるようになったり、消費者に安心して購入してもらえるようになったりすることにつながるはずなので、今後はそのような細かい詰めの部分も大事になってくるのではないかと思いました。また、このインターンシップの中で、途上国で開発という仕事に携わる難しさも実感しました。プロジェクトの専門家の方々はそれぞれ異なる専門性や強みを持っていて、なによりもそれらを活かして実践する行動力を持っていました。私は大学で途上国の開発を重点的に学んでいますが、今回インターンとして現場で実際に活動するにあたって、現場で活かせる自分の専門性がないこと、考えることは多くても実際に何をすればよいのかわからず積極的な行動がとれないことなど、自身の弱点に改めて気付かされました。失敗することが問題なのではなく、失敗したときにどのように修正していくかが問題なのだから、恐れずにまずは行動に移すことが必要で、そのひとつひとつの行動の積み重ねがやがて成果を生むのだと学ぶことができました。卒業後の進路を決めていく前にこのような貴重な経験ができたことに感謝して、社会のために自分は何ができるのか、何をしていくべきなのかについて考え続けていきたいと思います。

齋藤 紅葉 (GY7期生・教養学部)
実施国:インドシッキム州

この夏、インドのシッキム州にあるECOSSというNGOでインターンを行った。シッキムは、自然や文化の多様性が非常に豊かな山岳地帯にあり、人と人とのつながりも非常に強い場所であった。正直に言うと、私はインターンについて考えるまでシッキムという地名さえも聞いたことがなかった。さらに、今回のインターンは私一人での渡航であるということと、現地に日本人が一人もいないということから、現地での活動に不安を覚えていたが、現地で数日過ごすとその不安は消えた。人がとにかく親切で、食べ物も大変おいしく、私がインドに抱いていた治安が悪いというイメージは払拭された。現地での活動は自分の興味に応じた調査という形であったため、興味のある観光についての調査をした。日本からシッキムへのツアーはほぼ皆無であると言えるが、インド国内や欧米諸国からは人気の観光地である。シッキムでは、いくつかの方法で観光(旅行)を楽しむことができる。シッキムは、いわゆる田舎であるため、リゾート地として国内から多くの観光客が訪れる。また、山岳地帯であることから、登山やパラグライディングに訪れる人も多い。その中で、近年特に力を入れているのがエコツーリズムであり、豊かな自然を、観光を通して保護している様子がうかがえた。現地には、我々日本人と容姿が似ている民族がおり、そのため私は現地の人と非常に馴染んで生活が送れたり、それをきっかけに会話がはずんだりしたので大変充実した経験ができたと感じている。





  










井出 森洋(GY7期生・教養学部)

実施国:ベトナム


途上国の発展がなぜ先進国より遅れたのか。それは決してその国の人々の意識が低いからではない。ご存知の通り、植民地支配の影響など様々な要因が相互関係を形成して今の状態を作り上げている。さて、その数ある変数の中に「気候」というものがある。温帯や1年を通して湿潤な亜寒帯の地域は他の地域より一人当たりのGDPが高い傾向にあるのだ。私は交換留学でアメリカのボストンに行った後にベトナムを訪れ、2週間JICA事務所でインターンシップを受け入れていただいたのだが、この1年で経験した最低気温と最高気温の温度差は50℃を超えた。気候による国の発展の違いを文字通り肌で感じた。
本題に入ろう。今回のインターンシップではほとんどの時間を中部のゲアン省で過ごした。ゲアン省はベトナムの中でもとりわけ農業の盛んな地域で、省の人口の約7割が農業に従事しているとのことだ。私が視察させていただいたのも農業やそれを元にした観光業に関わるもので、省内の生産者とベトナム・日本国内の需要者を結ぶ契約農業を促進させるプロジェクト、地域の特産や自然資源・景観を活かして観光業分野の整備を進めるプロジェクト、そして農業に用いられる灌漑インフラを更新するプロジェクトの3つである。写真はこのうち2つ目のプロジェクトで、大豆を使ったソースを生産している家庭を訪ねた際に撮影した。JICAのサポートが入る前は大豆を炒る際に手作業で行っていたものを、今では機械を使うことによって大幅に効率を上げている。また生産物の商品化においてもJICAの支援が加わっており、具体的には国の基準に則った衛生管理や、生産物の情報を載せた商品ラベルの作成などに協力してきた。視察の最後に、「私たちはJICAにとても感謝している、ぜひお土産に貰ってくれ」とのことで私も御好意で大豆ソースを一つ頂き、帰国後炒め物に使ったのだがこれがとても美味しかった。このプロジェクトに限ったことではないが、出会った生産者達はそれぞれ自分達の仕事に誇りや自信を持っていて、積極的に動いていた。これは開発援助をするにあたってとても重要なことであり、長期的にビジネスを発展させるには当人のモチベーションが欠かせない。そして彼らとJICAの、このような良好な関係性が日本の開発援助におけるプレゼンスを高め、両国の友好関係にも寄与しているのだと感じた。


                                
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