クリームやファインデーションなどの化粧品製剤に於いて「塗っているときには流動し,手を離すと即座に固化・ゲル化して液だれが抑止される」という,"チキソトロピー性"が重視される.本研究では,化粧品用エモリエント剤に対して,Gemini型ジアミド系のチキソトロピー性添加剤分子をわずか1 wt%弱導入し,効率的なゲル状固化能を示す,塗布膜を生みだした.
また,抗菌性ナノ粒子として知られる「ナノダイヤモンド」の最外層を有機鎖修飾し,親油性を付与することで塗膜中に導入することに成功した.このことにより,化粧品製剤に抗菌性を付与するだけでなく,ナノ粒子凝集体の存在による紫外線散乱効果や,構造色発現による顔料効果などが付与できる可能性が示唆された.
Y. Mashiyama, Y. Hasunuma, A. Fujimori,* J. Fiber Sci. Technol., 79 (5) (2023) 123-130.
2. Spherical Particle Formation that Deteriorates Thixotropic Property and its Suppression Strategy for Diamide-Based Additives having Two-Hydrocarbons.
Y. Mashiyama, H. Maruyama, E. Satou, A. Fujimori,* J. Oleo Sci., 71 (4) (2022) 505-514.