Role
Model

02

意外なところからチャンスが巡り、 研究を通じて食の安心・安全に貢献している

埼玉県衛生研究所

水・食品担当

尾上 恵子

埼玉県立浦和第一女子高等学校出身

略 歴

2008年~ 鴻巣保健所
2011年~ 加須保健所
2013年~ 現職

研究者を目指したきっかけは?

大学は県外に進学したものの、地元で仕事をしたいという想いから、県の職員に応募しました。研究職ではなく薬剤師職としての採用のため、配属先は、衛生研究所以外にも県立病院や保健所など、多岐にわたっていました。はじめは保健所の配属となり、薬局等の許可や監視指導、毒物及び劇物の取締や薬物乱用防止活動等の薬事衛生に携わりましたが、その時に、より科学的な観点から公衆衛生に貢献する衛生研究所の役割にも興味を持ち、現在の職場への配属を希望しました。

現在はどのような研究をしていますか?

食品の理化学分野の検査・研究を行っています。具体的には、市場に流通している食品の残留農薬や残留動物用医薬品、食品汚染物質、食品添加物、アレルギー物質、遺伝子組み換え体などを対象に化学分析を行うほか、既存の方法よりも改善された分析法の考案も行っています。野菜や肉、魚、菓子、飲料をはじめ、扱う食品は非常に幅広く、その多くが生活に身近なものであるため、業務内容が社会で役立てられているという実感が湧きやすいです。最近では、食品添加物の一つである着色料の分析法の検討を行いました。

研究をするうえで心がけていることは?

研究を進めるには、自身の考えを明確に打ち出して仮説を立て、それを検証する必要があります。しかし、元となる考えが揺らぐと研究が行き詰ってしまうため、その根拠を打ち立てるのに苦労します。私が携わっている理化学分野は奥が深く学ぶべきことがたくさんあるため、セミナーなどスキルアップできる機会があればできるだけ参加し、知見を深めるようにしています。

今後のビジョンを聞かせてください。

近年では、人々の健康に対する意識がますます高まっており、そのニーズに対応することが重要な課題となっています。食品の理化学検査においても、今よりも短時間で検査結果を出したり、より多くの化学物質の検査を行うことが期待されています。そのため分析法を工夫することで、迅速で需要の高い検査を行い、少しでも食の安心・安全に繋げることができたらと考えています。今後は他部署での業務に関わる可能性もありますが、その際には今までの経験に加え、また別の観点を取り入れながら自身の知見を広め、より成長していきたいです。

女性にとって働きやすい職場ですか?

職場の女性の先輩方は、保健所や病院など複数の部署での業務経験を持っており、それぞれの幅広い知識を生かして研究を進めています。また、私が行き詰まった時には、適切なアドバイスをしてくださるので、大変心強いです。結婚や出産後も仕事を続けられる方が多く、休暇等の制度も充実しているので女性にとって働きやすい職場であると感じます。多くの先輩方が仕事と家庭を上手に両立されていて、私も見習うべき点がたくさんあります。

これから研究者を目指すあなたへ

ぜひ自分のやりたいことを大事にし、希望する道で活躍してほしいです。研究職という職種は、自身の知識やスキルに加え、広い視野を持ち、他人の考え方にも理解を示す柔軟性を持つことも重要だと思います。研究室内外のいろいろなことに目を向け、貴重な学生時代を大切に過ごし、一度しかない人生をより豊かなものにしていってください。