Role
Model

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サイエンスに国境はなく同じ研究をしているだけで語り合える

国立研究開発法人 理化学研究所 今本細胞核機能研究室 主任研究員

科学研究科 客員教授

今本 尚子

研究者を目指したきっかけは?

子どもの頃は音楽家を目指していたのですが、父の影響もあって科学の道を選びました。幼少期をアメリカで過ごした経験から「国境のない仕事がしたい」と漠然と思っていただけで、最初は研究者になろうとは考えていませんでした。恩師や先輩に恵まれた大学院時代に研究に夢中になり、まさに寝食を忘れるほど没頭する日々。卒業後は企業よりアカデミックな世界のほ
うが自分の力が公正に認められるのではないかと考え、研究者になることにしました。

現在はどのような研究をしていますか?

細胞核は、高等真核生物の巨大なゲノムを安定に保持する一方で、同じゲノム情報から機能の異なる分化細胞をつくりだす仕組みを兼ね備えた動的な細胞内器官です。私の研究室では、細胞核の機能制御の要となる核と細胞質間の輸送、細胞核の機能を支える細胞核構築の仕組み、並びにゲノムを次世代に正確に継承するための分子装置の解析を通して、細胞核の機能と構造の関係を明らかにしようとしています。

研究をするうえで心がけていることは?

自分の実験室で出た結果を大事にしています。たとえ他の人と異なる結果が出たとしても、何が違っているのか、本当に自分が正しいのか、徹底的に向き合います。もしかしたらそこから新しい発見があるかもしれないのです。たくさんの情報が溢れるなか、先入観を入れずに真摯に受け止め、周りに流されることなく自分の目で見たことを信じるようにしています。

研究をするうえで心がけていることは?

自分の実験室で出た結果を大事にしています。たとえ他の人と異なる結果が出たとしても、何が違っているのか、本当に自分が正しいのか、徹底的に向き合います。もしかしたらそこから新しい発見があるかもしれないのです。たくさんの情報が溢れるなか、先入観を入れずに真摯に受け止め、周りに流されることなく自分の目で見たことを信じるようにしています。

研究をどのように社会に役立てていきたいですか?

基礎研究の成果は、一見、社会の役に立たないように見えるかもしれません。けれども、「科学」は身の回りのさまざまなことに関連し、物事の基礎になっています。何かの仕組みを考えるのは、真理を構築することにつながります。かつて旧友に言われたのですが、こうした仕組みを考えること自体が社会貢献になるのではないかと思っています。これからも基礎研究で新しい発見(基礎)を積み重ねて社会貢献をしていきたいです。

女性研究者に期待することとは?

海外の研究者と共同研究をすると、当たり前のように女性研究者が活躍していて、家庭や子育てを両立している人がほとんどです。日本でも女性研究者が増えてきているとは言え、まだまだ少ないです。その分、女性研究者は目立つので、素晴らしい発表をすれば認められやすいというメリットがあると思います。私が就職をした時代とは違い、男女の雇用制度や支援環境が大きく変化してきています。日本でも女性研究者が増えていってほしいですね。

これから研究者を目指すあなたへ

サイエンスに国境はありません。同じ研究をしていれば、国に関係なくあらゆる研究者と互いに語り合うことができるのです。特に海外ではファーストネームで呼び合い、共通の興味があるので初対面でもすぐに親しくなれます。これは研究者になってよかったと思う瞬間ですね。これから研究者になろうという方には、どんなときも自分自身が面白いと思うことを追求していってほしいです。