「こういう自分になりたい!」
 総合技術支援センター 技術職員 加藤美佐

私の仕事・・・

私は総合技術支援センターに所属する技術職員です。あまり知られていない職種かもしれませんが、埼玉大学には44名の技術職員がいます。そのうち、女性は5名です。私たちは、機械、電気、生物、化学など、それぞれが専門分野を持つ技術者の集団です。私の専門は化学で、主に工学部応用化学科で働いています。化学の中でも、分析化学を得意としています。私の仕事には、教育支援業務と研究支援業務があります。教育支援業務としては、学生実験の準備や指導のほか、卒研生や大学院生の質問に応じて、実験操作のこまごまとしたノウハウや薬品の処理方法などを教えています。一方、研究支援業務としては、依頼分析や機器の管理などがあります。また、研究テーマを与えられ、実験も行っています。学会で発表することもあります。他にも、応用化学科の安全教育や安全点検パトロール、ヒヤリハットの収集・公開など、安全管理にかかわる活動も行っています。

技術職員になって・・・

私は、埼玉大学の卒業生です。学生の頃は、漠然と研究や開発にかかわる仕事につきたいと思っていました。今思えば、勉強不足で、真剣さに欠けていたと思います。紆余曲折の末、公務員試験を受け、縁あって母校の技術職員なりました。あこがれだった研究の現場で働くことになりましたが、当時は女性の技術職員はひとりで、技術職員はいわゆる職人さんの集団でした。機械いじりも電子回路も得意ではなく、分析機器に詳しいわけでもなく、他の職員と比べて、できないことも知らないことも多く、なんとなく事務仕事が多くなりました。私だけが技術者らしくない技術職員のように感じました。また、家事・育児を背負う身になり、時間の制約も増え、ますます取り残されていくように思えました。目指していた働き方と違うと思うと、子どもたちを預けて働くことに後ろめたさも感じ始めました。これから先ずっとこのままでいいのかと考えた時、納得できませんでした。どうしたらいいのだろうかと思いながら働き続けていくうちに、大学の法人化に伴い、安全管理の仕事がふってきました。資格取得の話も回ってきました。「これから試験勉強は大変そう・・・」と思いましたが、自分の仕事を変えるチャンスと思い、衛生管理者と作業環境測定士の資格を取りました。資格が取れたことで少し自信がついて、新しいことに積極的に取り組む気持ちになりました。自分にできないことではなく、自分に何ができるか、自分のできることを使ってどう進もうかと考えるようになりました。その後、依頼分析など新しい仕事も増えて、好きな化学から離れることなく働き続けています。大学の教育・研究活動を支える役割として、必要とされる存在でいることを目標にしています。

女子学生の皆さんへ

「こういう自分になりたい!」という姿を描いてみてください。そうすれば、進む方向、やるべきことが見えてくると思います。私は、ぼんやり、なんとなく働いていたことを反省しています。少しずつ世の中は変わってきていますが、働くことも家庭を持つこともまだまだ女性の方に何かと負担がかかります。私自身、男女雇用機会均等法ができた頃に就職し、育児休業が1年間取れるようになった世代ですが、子育てしながら働く中で泣きそうなこと(泣いたこと)もあります。でも、同じようにがんばる仲間や応援してくれる味方がいますし、働くことにも子育てにも、楽しいこと、おもしろいこと、うれしいことをたくさん見つけることができます。めげずに元気な気持ちで、歩んでいってほしいと思います。遠回りをすることもありますが、そんな経験もどこかで必ず役に立つものです。時々グチをこぼしながら、「明日は明日の風が吹く」という心持ちで、心折れずにしなやかにいきましょう。