「仕事と出産、育児休業について」
理工学研究科 工学部応用化学科 長島佐代子

「仕事と出産、育児休業について」

大学の研究室のデスクにて。

理工学研究科に所属し、工学部応用化学科で助教として、教育・研究を行っています。研究分野は錯体化学と呼ばれる分野で、錯体という金属イオンと他の分子が組み合わさった物質を合成し、その機能や物性を解明することで、新しい材料の開発を目指しています。

私生活では2015年4月に長女を出産しました。産前・産後休暇、それに続く育児休業を2015年3月下旬から翌年3月末まで取得し、4月に職場復帰しました。

妊娠中は日々大きくなるお腹を抱えつつ周囲の皆さんに支えてもらい、体調不良に見舞われることなく授業や実験を行い、仕事を続けることができました。産休に入ってからも大きなトラブルなく出産を終えることが出来ました。

初めての育児だったので何もかもがわからず手探りの状態でしたが、家族に助けてもらいながら日々を過ごすうちに生活を軌道に乗せることができました。育児休業を取得したおかげで、子どもの成長を身近に感じながら過ごすことができ、とてもありがたかったです。

いわゆる「保活」もしました。役所で状況を聞いたり、学内保育施設のそよかぜ保育室を含め数園の保育所を見学したりしました。通園による子どもの負担を考慮し自宅近くの公立保育園を希望した結果、無事入園することが出来ました。

「復帰してからの子育てと仕事の両立について」

1年ぶりの仕事復帰は慣れるまで大変でした。子どもと長い間過ごすことができた半面、仕事感覚が戻るまで時間がかかってしまったように思います。それと共に、それまで自分の好きなように時間を使っていた生活から子ども中心の生活へと一変し、働き方を変えざるを得ませんでした。

自宅にて。娘はぬいぐるみが詰まったかごを持ち歩いて遊んでいます。

子どもの保育園のお迎えのため毎日大学にいられる時間には限りがあり、さらに子どもの体調不良でいつ仕事を休まなくてはならなくなるかわからないので、できる仕事をできる時にするようになりました。仕事にかけられる時間が実質減っている分、効率よく、時間的余裕をもって仕事をすることを心がけています。家に帰ってから子どもが寝るまでは仕事のことは考えずに、子どもと向き合うことにしています。そうすることで、子どもと一緒にいられる時間は少なくても、子どものちょっとした成長や変化に気づくことが出来ていると思います。

現在、研究室の教授、学生、学科の先生、スタッフを始めとする多くの方々に温かい励ましとご協力を頂きながら、何とか仕事を続けることが出来ています。研究者に限ったことではないと思いますが、子育てをしながら仕事を続けるということは、職場の方々、保育施設、もちろん夫や家族などの周囲の人々の支えがなければ不可能だということを実感しています。

ワークライフバランスをとって子育てと仕事をうまく両立できているとは到底言えませんが、一日一日を大事にして過ごし、私になりにどちらも充実させていきたいです。

「後輩へのメッセージ」

男女共にキャリアアップ、結婚、妊娠・出産、子育て、介護といったたくさんのライフイベントに遭遇する可能性がありますが、女性は特にこれらのイベントによる影響を受けやすいと思います。自分にはどんなライフスタイルがあっているのか、自分が望んでいるスタイルはどのようなものか、そのためにはどのような働き方や生き方をすればよいのか、折を見て考えることはとても重要だと思います。

キャリアを築きたい人、子ども・家庭を優先する人。女性の生き方は多様であり、その人にとって魅力ある働き方もそれぞれ違うと思います。今後女性が子育てをしながら働く環境は今まで以上に整ってくると思います。自分に合った働き方の選択肢も増えてくることでしょう。家族や周囲の人々と折り合いをつけながら、誰かを真似するのではなく自分自身が納得する選択をして自分らしくあればよいのではないでしょうか。

家族で石垣島に行きました。私と娘は遊び疲れて、船の中でゆったりしています。

私自身結婚生活が長くなく、子育ても始まったばかりで不安な点は多々ありますが、これまでと同じように、何か問題に直面した際には、自分や周囲にとって最善の策は何なのか、皆と相談しながらその時々で考えていきたいと思っています。