「様々な人と出会える埼玉大学はとても素敵な大学」
理工学研究科生命科学系専攻分子生物学コース 博士課程1年

自己紹介

分子生物学とはどのようなものだと思いますか。分子生物学とは、生体分子(DNA、タンパク質、脂質など)に着目し、分子レベルで生命現象を解明しようとする学問です。主に、DNAが持つ遺伝情報がmRNAやタンパク質にどのように伝えられ、生命現象を引き起こすのかについて学んでいます。

私は現在、植物分子生理研究室に所属しています。私の研究テーマは、植物体の生育と糖の効率的な活用です。現在は光合成で作られた糖を植物体の様々な器官に運ぶために必要な通路を増やすことで、高二酸化炭素条件で蓄積した糖を植物体の生育に活かせないか研究しています。種子のサイズが大きくなることや植物体から採れる種子の総量が増えることがわかってきました。

大学院生の1日は研究がメインです。平日はだいたい10時から20時まで研究室で過ごしています。研究室で行うことは研究だけではありません。週1回行われるセミナーで研究の進捗を発表したり、英語の論文の内容をまとめて紹介したりする機会もあります。機会があれば、国内外で行われる学会での発表もあります。

私の所属している研究室は海外の研究室との交流もあり、毎年数名が短期の研究留学に行きます。私は昨年、韓国の浦項工科大学に行ってきました。慣れない英会話に苦労しましたが、韓国の学生の研究に対する熱意に触れ、研究に対する意欲が湧きました。

大学進学にあたって私が考えたこと

高校までは多くの人が同じような進路ですが、高校を卒業するとそれぞれが異なる道に進むことになります。将来就きたい職業ややりたいことが決まっていないと、多くの進路の中から一つを選ぶことはとても難しいことです。

私は大学選びに悩みました。大学に行きたいと思うものの、何を学びたいか、どこの大学に行きたいかがなかなか決まりませんでした。そこで私は、高校の授業の中でどの科目が一番楽しいと思うかに焦点を当てて決めました。私は生物の授業が一番楽しいと思い、生物系の勉強をすることに決めました。理系に進学するにあたり、ひとつ問題がありました。それは、数学と物理が嫌いということです。国立大学に行くには数学は避けては通れぬ関門でした。センター試験の数学で失敗しましたが、それを補える二次試験のあった埼玉大学理学部分子生物学科に進学しました。

こんな安直な理由で埼玉大学に進学しましたが、後悔はしていません。大学院も埼玉大学に通っているくらいですから。自分のやりたかった生物の勉強ができ、また学科やサークルを通して良い先生や仲間に出会えました。埼玉大学の良いところの一つとして、全ての学部が同じキャンパス内にあることだと思います。学部や学科が違えば、集まる人たちも違います。様々な人と出会える埼玉大学はとても素敵な大学だと思います。

メッセージ

大学では、高校ではできなかったいろいろなことに挑戦することができます。勉強も自分の興味のある分野を深く突き詰めていくことができます。

自分のやりたいこと、学びたいことができる大学、学部、学科を選んでください。学びたいことが絞れているなら、何をテーマに研究している先生がいるのかを調べることも大切だと思います。先生方の専門について学ぶことになるので、ただ生物系と言っても学ぶことは大きく異なります。

また、理系に進学するなら大学院まで進むことを考えてみてください。研究がしたいなら大学院まで行かないと厳しいですし、将来の選択肢も広がります。大学院を出ることで社会から専門知識をもった人として認められます。大学院は大学と違い、自分で問題を発見しそれを解き明かしていきます。それは難しいことや苦しいことも多いです。しかし、自分の求める結果が出たときや、研究を面白いことを発見したときの喜びは素晴らしいです。

大学時代は自分の好きなことができる絶好のチャンスです。みなさんが楽しく有意義なキャンパスライフを送れるように願っております。

2016年11月19日 HiGEPS女性科学者の芽セミナーでの発表内容を編集