「子どもの不思議な力をもっと知りたい!と思ったことが研究者へのきっかけでした」
 教育学部 生活創造講座 教授 吉川はる奈

これまで歩み

研究の道へのきっかけは目の前の子どものまっすぐなまなざし

原点は子どものまなざし

みなさんは乳児にまっすぐなまなざしで見つめられた経験はありますか?

乳児の小さな小さな手をそっとにぎってみると、それ以上の大きな力でぎゅっと握り返してくれます。この小さいけれど魅力的で不思議な力をもつ乳児の世界に出会ったのは大学学部3年生のとき。ちょうど所属していた研究室が都立病院の小児科と共同で縦断研究の大型プロジェクトをすすめていて、学生メンバーとして参加していたときでした。

 

 

周囲の支えに助けられ

研究を通じてであう仲間

気づけばそれからずっと子どものこころとからだの健康、発達について研究と臨床を続けてきました。始めから確固たる研究者への人生プランがあったわけではありません。好きなことを続けて今に至っている、というとラッキーなのかもしれません。しかしいくつかのターニングポイントがあったと思います。いずれの時期も研究グループのメンバー、先輩、恩師たちそして夫や家族にも助けてもらうなど、多くの出会いに育ててもらいました。

学生時代は女性総合職がスタートして、同期が企業に総合職としての就職をめざした時期でした。女性なのになぜわざわざ進学?ともずいぶん言われました。

出産後、子育てでは、保育園に10年通い、研究者の夫、家族にも助けてもらいましたが、自分の健康はとても大切でした。子どもが熱で休むたびに自分のせいだ、仕事をやめようと思うことの連続。先輩の研究者が、自分の健康も大事だよ、と言ってくれたのを覚えています。自分自身が健康でなければ、続かないということだと思います。次男を出産したときには、長男も助けてくれました。次男は長男と一緒だといつもご機嫌。子どもの成長にも助けられたんですね。

研究の内容

元気な「チーム・ヨシカワゼミ」のメンバーと

私の研究対象は「生活する子ども」です。したがって研究のフィールドは子どもが生活する場です。具体的には保育や子育て支援の場、学校に出かけ、子どもの姿に接しながら研究データをとり、すすめます。また研究をすすめる過程で、子どもたちを日常で支える大人の支援方法の検討も大事な研究内容になりました。子どもとそれを支える大人の健康な育ちを目ざしています。

さらに具体的にいうと、子どもの生活動作や役割活動の発達、仲間関係の特徴、また子どもを支える保護者や保育者、指導者の働きかけの方法について特徴を明らかにし、課題を示していきます。

ゼミ生や他の研究者とともに学会で研究発表するほか、論文執筆、役員として学会での企画運営も大事な役目と思っています。また研究仲間との研究会を定期的に開催し、研究テーマについてディスカッションし、後輩の育成も行っています。ゼミ学生を中心としたチームで子育て支援の実践に取り組むこともしています。

後輩へのメッセージ

就職や進学に際して、進路の先が見えている、という人はいないと思います。みなさんなりの立ち位置で、「好き」「面白い」と思えること、あるいはそこまで確固たるものになっていなくても、自分なりの「こだわり」を見つけ、エネルギーを注いでいくことで、道はつながると思います。

最後に、女子学生、院生の方へ。これから就職、結婚、出産や育児をはじめ人生のさまざまなターニングポイントがあるかと思います。トップギアで走れない時期もあるかもしれませんが、その時期にしか見えないことをしっかり見て、次のステージに活かすこともできます。そして周りの存在、先輩、後輩、同期、仲間の存在もとても大切です。自分の立ち位置を活かしながら、粘り強く継続することで次につながると思います。