「どのタンパク質に、なんの金属イオンが、どの程度結合しているのか」
理工学研究科 修士1年

自己紹介

私は、埼玉大学工学部応用化学科を卒業し、現在は埼玉大学大学院に通っています。大学の4年生から現在の研究室に所属していますが、基本的に日々の生活は研究室で過ごしています。平日は朝9時前に登校し、実験やデスクワーク(英語論文を読むことや、発表資料の作成等)を行い、夜9~10時頃帰宅することが大半です。土日も学校に行き研究をすることが多いですが、週1のアルバイトや、時間があるときは友人と遊びに行くこともあり、自分の時間と研究の両立をするように心がけています。私の所属する研究室は「分析化学」を専門としていて、これまで測定することができなかったもの、分析することができなかったものを、新たに測れるようにする方法の開発を行っています。現在取り組んでいる研究テーマは、ゲル電気泳動法という手法(下に装置図を載せます。)を用いて、生体中に含まれている微量の成分、特に金属イオンを測定する方法の開発です。その中でも体の中に数千種類含まれているタンパク質と、結合して存在している金属イオンに注目し、金属イオンと結合しているタンパク質だけを数千とあるタンパク質の中から取り出して、「どのタンパク質に、なんの金属イオンが、どの程度結合しているのか」ということを明らかすることが可能な手法を開発しています。研究は、これまで世界中の誰も達成していないことを行っているので非常に大変ですが、その分やりがいもあって楽しみながら頑張ることができています。

これまでの歩み

小学生の頃から算数や理科が好きで、迷うことも特にせずに理系を選択していました。(社会が苦手ということも多いに関係していたと思います。)大学では応用化学科に入学しましたが、化学系を選択した理由は、高校生の時に化学を教えてくれた塾の先生の影響が大きかったと思います。数学や物理に対して、化学は色の変化やにおい、形状の変化が起こり、その変化がどのようにして起こっているのか、どんな反応が起こっているのかを、実験を通して理論的な思考を用いて勉強することがとても楽しかったのを覚えています。すごく単純な理由で理系を、その中でも化学科を選択してしまいましたが、今後悔はしていません。研究をしていて改めて感じましたが、辛いときでも、楽しいことや好きなことなら頑張れるので、進路を悩んでいたら、自分の好きなことや楽しいことを選べばきっといい結果につながっていくんじゃないかと思います。

後輩へのメッセージ

理系は文系と比較して、大学時代は非常に忙しいです。研究室に入る前も授業の一環で実験があり、その都度20~30枚のレポートを書きますし、課題に追われることも多いです。このような話だけ聞くと、不安に思うと思います。でも、なんだかんだ何とかなってしまうものですし、その分得られるものは多いです。また、上でも書いたようになんといっても、世界初の研究(これはどの大学の、どの研究室でもそうだと思います。)を自分の手で行って、新しい発見をできるというのは理系ならではの特権だと思います。もちろん、実験がうまくいくことは確率でいえば5%あるかないかです。しかし、頑張っていれば必ず何か新しいことは見つけられますし、見つかった時、うまくいったときの喜びは頑張った人にしか味わえないと思います。だいぶ化学に寄った話になってしまいましたが、好きな科目が理系にあるのであれば、理系に進むことで辛くても楽しい学生生活が送れると思います。最後に、大学受験についてですが、理系の場合は特に大学名よりも、自分が何をしてきたか、どれだけ研究を頑張ってきたかが評価されることが多いと思います。ですので、大学を名前で選ぶのではなく自分がやりたいと思えること、好きなこと、楽しいと思えること、やりがいを感じること、そんなことができる大学を選んでほしいと思います。ぜひ、そういった面からも大学を選んでみてください。

2016年6月4日 HiGEPS女性科学者の芽セミナーでの発表内容を編集