液中原子間力顕微鏡の開発と固液界面現象の原子スケール計測

ー波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)
 原子間力顕微鏡(AFM)は、原子レベルで鋭く尖った針(探針)を試料に近づけたときに探針−試料間に生じる相互作用力が一定となるように、探針−試料間距離を制御することで、表面構造を高分解能で観察することができる顕微鏡技術である。

 周波数変調AFM(FM-AFM)は、カンチレバーとよばれる板ばねをその共振周波数で振動させながら、カンチレバーの先端に取り付けられた探針を試料表面に近づけ、探針−試料間にはたらく相互作用力を、カンチレバーの共振周波数の変化(周波数シフト)から検出する方法である。

 近年、液中FM-AFMによる原子分解能観察が実現され、FM-AFMは、液中の表面構造を1原子・1分子レベルで直接観察することができる唯一のナノ計測技術として、以下に挙げるような固液界面現象のメカニズムの原子レベルでの解明が期待されている。

 当研究室では、自作の液中FM-AFMを用いて装置の性能向上や表面構造と表面物性(電子状態、電位分布、粘弾性など)を同時に観察することができる技術の開発に取り組んでいる。

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固液界面現象の原子スケール計測
 固体と液体が接する固液界面では、様々な物理・化学現象が起こっており、当研究室では液中FM-AFMを用いて、以下のような現象における表面・界面の構造やそこで見られるプロセスを原子スケールで計測し、そのメカニズムを明らかにすることを目指している。

(1)結晶成長
 結晶は我々の生活に必要不可欠な材料である。よりよい結晶を作るためには結晶がどのようにして成長しているのかを知らなければならない。結晶は溶液中の原子やイオンが結晶に取り込まれることで成長する。その様子を液中FM-AFMを用いて原子レベルで捉え、結晶成長メカニズムを明らかにしたい。現在は主に薬剤用有機低分子結晶に関する研究に取り組んでいる。

(2)電気化学反応
 電極−電解液界面では、産業的に重要な様々な電気化学反応が見られる。電気化学反応のプロセスを1原子レベルで観察し、そのメカニズムを明らかにすることで、新型電池や触媒、腐食しにくい材料の開発に役立つ知見を得ることができる。現在は主に白金単結晶表面で起こる電気化学反応の解明に取り組んでいる。

(3)生体分子の構造・機能
 生物は多種多様な生体分子で構成されており、それぞれがそれぞれの役割を果たすことで、様々な機能が発現する。当研究室では細胞の内外を隔てている細胞膜に注目しており、がんの転移の抑制する物質を添加することによる膜の硬化メカニズムを原子レベルで明らかにすることを目指す。

イメージギャラリー
Muscovite mica in PBS

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Calcite in water

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CaF2(111) in supersaturated solution

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KBr in water

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DPPC lipid bilayer in PBS

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Lysozyme in saturated solution

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アクセス

〒338−8570 埼玉県さいたま市桜区下大久保255

埼玉大学理学部基礎化学科中林研究室

TEL:048−858−3617 FAX:048−858−9424

添付ファイル: fileLysozyme.gif 93件 [詳細] fileDPPC.gif 76件 [詳細] fileKBr.gif 90件 [詳細] fileCaF2.gif 102件 [詳細] filecalcite.gif 93件 [詳細] filemica.gif 110件 [詳細] fileFM-AFM.jpg 130件 [詳細]
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