非線形電気化学を利用した超格子合成

非線形電気化学振動子は、鉄電極が、自身を溶かしながら作り上げる散逸構造であった。もし、金属が析出する反対向きの反応に双安定性を組み込むことができれば、電極表面に規則正しい構造を作成することができるだろう。数多くの電気化学振動系のなかで、「乳酸/CuSO4/Cu」系は極めて特異である。第一に、還元過程の自励発振であるため、反応後の電極表面には電解生成物が蓄積される。数十周期振動を経験した電極を引き上げ、表面から深さ方向にスパッタしながら組成を分析すると、Cu2OとCuの層が交互に積み重なった層状構造が観測された。 Cu/Cu2O構造を2nm周期で積み上げ、面に直行する向きで電流電位関係を測定すると、正孔の量子閉じこめ効果に起因する負性抵抗を室温で測定できた。さらに、この積層構造は光材料としての期待も大きい。図5の様に金属銅の上にCu/Cu2O構造を積み上げると、表面の2次の光非線形感受率が増大し、パルスレーザーの光を照射すると2ω光が効果的に発生することも観測できた。この様に、非線形自励発振を用いると、電子や光機能を持った超格子構造を安価かつ高速に合成できることが明らかである。さらには、前述した非線形引き込み現象を利用すると、電解容器の中の複数の電極総てに、一部の狂いもなく、等価なパターンを、自動的に描き上げることも可能である。

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複雑系のリアリティ その5

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