フラスコの中の太陽(単泡性超音波発光)

球対称の器に入った純水に図6のように超音波を照射し、容器の中心が腹になる定在波を立てる。ここに、シリンジから気泡を注入すると、ただ一つの気泡だけが中心に捕獲され、励振周波数に同期して膨張・収縮を繰り返す。すると、しだいに気泡から青白い光が観測される。条件を巧く選ぶと1日程度は持続した発光を観測できる。発光は、捕獲気泡が膨張から収縮に転じ気泡が潰されたときに、パルス状に発生する。発光の時間幅は、数ピコ秒。発光のスペクトルは黒体輻射で良く近似でき、温度を見積もると数万度となる。これは、デスクトップで太陽表面温度より高い1ミクロン径の極限反応場を作ったことに相当する。気泡の運動は、レイリー・プルッセルトの非線形方程式で記述され、超音波のエネルギーが1点に集まることにより極限状態ができたことが判る。我々は、(単泡性超音波発光)をメゾスコピックな極限反応場と考えている。この様な、極限的な場を利用すると、通常では到底合成することができない特異な微粒子を作成することも可能だろう。

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複雑系のリアリティ その6

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