全液体光結晶の創製と超長寿命励起分子化学

どんな怠け者でも、寿命が1万倍伸びて、100万年活きれば何か仕事をするに違いない。光を吸って励起状態になった分子の寿命を1万倍にできれば、全く未開の光化学が、その姿を現すだろう。この目的を果たすためには、光結晶の考え方を応用すればよい。図7のように100nmの直径を持つ油の粒を、水溶液の中に綺麗に並べると、本系は液体光子結晶として機能させ得る。この全液体光結晶の合成には、コロイド化学的な手法と超電導磁石を用いた強磁場科学の手法を複合的に利用する。こんな反応場ができると、励起分子の発光に対応する輻射が光結晶中で存在できないために、励起分子の輻射失活の過程が完全に抑制される。我々は、水相に常磁性金属イオン(Ni2+)を溶かし、この中に、電気乳化法により単分散に粒径制御した反磁性有機分子(ジベンジルエーテル)をけん濁させ、10T超電導磁石に挿入した。すると、磁気アルキメデス効果により無磁場下では沈んでいた有機層が磁気浮上し、磁気力の大きな勾配磁場極大付近に集まり結晶化することを見いだした。まだ、確定した結果は出ていないが、輻射失活過程が抑制されると、励起寿命が長くなることには疑いがない。

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複雑系のリアリティ その7

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