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複雑系のリアリティ

-動機と抱負-
~-動機と抱負-

2001年7月
中林 誠一郎

はじめに

「複雑系」は遅咲きの花のように思われる。この分野の標準的な教科書を日本語で読める環境は意外に古くから整っていて、例えば、80年代中期には、プリゴジンの「散逸構造」やハーケンの「Synergetics」が日本語で読める状況が完備されていた。ところが最近、複雑系の研究の流れに質的な変化が急速に進み、数少ない実験に多くの理論家が群れていた昔の解析的なフェーズとは異なり、応用も射程に入れた「合成的」な新しい流れが生まれつつある。筆者は、レーザーを用いた表面光化学の分野から、徐々に「複雑系」へ研究のフィールドを広げてきた経緯を持つ。いま、国内外の研究の流れと自分自身の研究経験を見合わせると、実際に役に立つ「リアルな果実」は「複雑系+光機能」の領域に求める事ができると確信できる。この小文の全体を通して、20年近くも前に蒔かれた「非平衡-開放系の種」が、今頃なぜ「合成的なリアリティ」を持つほど成長を遂げたのかを考え、あわせて、近い未来の研究の姿を展望したいと願っている。

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[[複雑系のリアリティ その2]]


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TEL:048−858−3617 FAX:048−858−9424

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