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プログラムの特徴FEATURES OF THE PROGRAM

サイエンス・リーダーズ・キャンプの特徴である「最先端の科学」については,本企画では,福島第一原発事故によって放出された放射性物質がどのように拡散したり付着したりして地域や自然を汚染したのか,またその放射性物質をいかに取り除いて安心に人が暮らせる環境を取り戻そうとしているのかを,科学的な立場から理解することが最先端だと捉えています。実際に現在,数多くの科学者が,こうした現実社会の問題に取り組んでいます。
 そこで本企画では,物理,化学,生物,地学,農学,気象学など,多様な分野の科学者を巻き込み,放射線・放射能除染の問題について,多面的に科学的理解を深められるように工夫をしました。
 また,基礎的な科学から,最先端の科学までを理解するための講義や実験も工夫しています。例えば,講義「放射性物質の化学」(永澤明教授)では,放射性元素の知識,ウランによる原子力発電の仕組み,事故により放出された物質の種類と化学的特性,物質循環についての考え方,生物による元素取り込み,化学的濃縮の仕組み,除染の可能性,などについて解説します。また,実験「放射性物質の特性1」(永澤明教授,藤原隆司准教授)では,東日本大震災で原子力発電所から飛散した放射性物質であるヨウ素とセシウム,またかつて大気圏内核実験により飛散し問題になったストロンチウムなどの化学的・物理的性質を実験によって確かめます。
 参加された教員の方々の元で,中学高校生の放射線・放射能に対する理解が深まるのとともに,こうした社会の重要課題の解決に挑もうとする次世代の研究人材が育つことを期待しています。参加者の皆様には,今年度中に,研修成果を生かして,何らかの教育的取組を実施して頂き,その結果を埼玉大学まで報告して頂くことを求める予定です。授業の実践でも,科学部活動での実践でも結構です。提出頂いた実践報告も含めて,本企画の実施成果として,ホームページを通じて,広く全国の理科教育関係者の参考となるよう情報発信したいと考えています。

視察による放射線被ばくについて


 放射線と放射能除染についての科学的な理解を深めるために、研修二日目に放射能汚染地域の視察を行います。視察に伴う放射線の外部被ばく量は、空間線量率が1.0〜3.8マイクロシーベルト/時の場所が2時間程度,0.3〜1.0マイクロシーベルト/時程度の場所が3時間程度,0.3マイクロシーベルト/時未満が4時間程度と見込んでいます。したがって,1日の被ばく量は,最大で12マイクロシーベルト程度となります。これは、日本における年間の自然放射線(大地、宇宙、空気、食物から)による平均的被ばく量が1500マイクロシーベルト程度であるので、通常1日当たり4マイクロシーベルト程度の自然放射線を被ばくしているとすると、その約3日分に相当する量とお考えください。また、日米や日欧を飛行機で1往復すると、50〜100マイクロシーベルト程度の宇宙線による外部被ばくを受けていることも量的な判断の参考にしていただけるかと思います。
 内部被ばくについては、現在、放射性物質が大気中に浮遊している状況では無く、土壌や落ち葉等に付着して存在しているため、容易に放射性物質を経口摂取する心配はありません。しかし、除染の作業現場を視察する際は、工事に伴って土壌が空気中に舞い上がり、微量の放射性物質が空気中に漂う可能性があるため、事務局で用意する防護マスクを着用していただく予定です。また、比較的空間線量の高い土地では、履き物の底に泥などとともに放射性物質が付着する可能性がありますので、長靴を着用し、バスに戻る前に水で泥などを洗い落とす予定です。長靴の持参が難しい方のために、使い捨ての靴カバーを用意します。なお、視察中は、事務局で用意します放射線計測器を2人に1台携帯していただき、ガンマ線による空間放射線量を確認しながら、研修していただく予定です。
 放射線の被ばくとその防護については、放射線医学総合研究所のホームページ(http://www.nirs.go.jp/index.shtml)を事前に参照いただくことをお薦めします。
 また、南相馬市を中心とした被災地が東日本大震災以後どのような状況にあったかを知っておくことも視察をより有意義にすると思われます。事務局が現地を下見した際に入手しました次の書物をご紹介します。
 山岡淳一郎著「放射能を背負って 南相馬市長・桜井勝延と市民の選択 (南相馬市長桜井勝延と市民の選択) 」朝日新聞出版[2012.4 単行本]



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