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イコンの葉のアラビノガラクタン‐プロテインの糖鎖構造
◎アラビノガラクタン‐プロテイン
(AGP) ってなんだろう??
AGPは、植物の細胞壁に含まれる糖タンパク質で、私たちの身近では、 アラビアゴム、ガムシロップ、漢方薬に利用されています。AGPは植物の成長や発達に関与することが知られていますが、構造が分からな いのでその働きも不明です。私は、AGPの糖鎖がどのような単糖からできていて、それらがどのように結合してい るのかを調べています。ところで糖鎖とは何でしょうか?
◎
糖鎖って??
糖鎖とは、いくつかの単糖が結合した物質で、デンプンやセルロース
も糖鎖です。単糖にはたくさんの種類があります。そして各単糖は結合の手を主に4〜5つ持っていて、他の単糖と手をつないで結合します。単糖の種類が違った
り、手のつなぎ方が変わると、全く別の糖鎖になります。例えば、マルトース (デンプンを分解して得られるオリゴ糖) とセロビ
オース (セルロースを分解して得られるオリゴ糖) はどちら
も同じ手で結合していますが、手の向きが変わることで全く違う糖鎖になります。
◎どうやって糖鎖の構造を調べる
の??
AGPの糖鎖は、とても多くの単糖からできています。そのため、そのままの状 態では複雑すぎて構造が分かりません。そこで、【酵素】というある決まった結合の手を切る道具を用いて、AGPを小さな オリゴ糖にし、そのオリゴ糖の構造を調べています。
≪どんな単糖からできているの?≫
オリゴ糖を酸で単糖単位に分解し、これをHPAEC-PAD (陰イオン交換クロマトグラフィーと電気化学検出システムを組み合わせた もの) で分析すると、オリゴ糖がどんな単糖で、どんな比率でできているのかが 分かります。
≪どのように結合しているの?≫
結合は、メチル化糖分析という方法で調べます。この分析では、ま ず各単糖の結合していない手にメチル基という手袋 (茶色) をかぶせます。その後、酸で単糖単位に分解すると手袋をしていない手 (結合してい た手) が現れます。この手にはアセチル基という手袋 (水色、紫 色、黄色) をかぶせます。これをガスクロマトグラフィー (GLC) で 分析すると、どこの手とどこの手が結合していたのかが分かります。
≪まとめ≫
ダイコンの葉のAGPは5種類の単糖か らできていて、複雑な構造をしていることが分かりました。将来、AGPの構造が明らかになることによって、AGPの様々な 働きが明らかになっていくことが期待されます。
≪使用動画≫
・素材屋じゅん http: //park18.wakwak.com/~osyare/