アラビノガラクタン-プロテイン単一分子種の単離と糖鎖構造解析 犬飼 達也
AGPは色々な植物に存在している糖タンパク質です。特に細胞壁に多く含まれていて植物の成長や発達に関与しています。AGPには糖鎖 (糖が連なったもの) があり、この糖鎖がどのように連なっているかで機能が変わると考えられています。
シロイヌナズナという植物にはAGPが48種以上ありますが、1つ1つの構造や役割はほとんどわかっていません。私はGFPを利用して1つ1つのAGPを取り出すことで構造を調べようと試みています。
GFPって?
GFPは緑色に光るタンパク質のことで、オワンクラゲという生物から発見されました。これを発見したのは下村脩さんという方で2008年にノーベル化学賞を受賞しました。GFPは紫外線に当てると緑色に光るため目印となります。GFPは他のタンパク質と結合させることで、そのタンパク質がどこで働いているかを調べるのに役立ちます。
研究内容
私はAGP1とAGP4にGFPを結合させたAGP1-GFPやAGP4-GFPを発現するシロイヌナズナを用いています。GFPの観察から、AGP1は根に、AGP4は根や葉の表面にある毛 (トライコーム)に多く存在していることがわかりました。
↓AGP1-GFP (根) ↓AGP4-GFP (トライコーム)
さらに、私はGFPを目印にしてAGP-GFPを取り出しています。AGP-GFPを取り出す時はクロマトグラフィーという手法を使っています。この操作により性質や大きさの違いによって色々なタンパク質を分けることができ、AGP-GFPをきれいに取り出すことができます。
↑クロマトグラフィーの図
AGP1-GFPとAGP4-GFPを取り出して構造を決定できると、これら1つ1つの働きを明らかにできるかもしれません。