イネのカマイラズ変異体bc4の 細胞壁解析

◆ カ マイラズ変異体は折れやすい◆

茎がポキポキ折れる「カマ イラズ変異体」という不思議なイネを調べています。左の写真の上がカマイラズ変異体、下が普通の イネです。同じように力を加えても、普通のイネは折れ曲がるだけですが、カマイラズ変異体は折れちぎれてしまいます。これが“カマイラズ(鎌要らず)”と いわれる所以です。マイラズ変異体は全部で8種類あり、この研究ではそのうちのひとつであ るbc4について調べています。カマイラズ変異体 は、茎の細胞壁の成分が変化しています。この変化の原因を解明できれば、細胞壁成分を人為的に変えることができるようになります。例えば、バイオエタノールの原料 となるセ ルロースという成分を多く作るように調節すれば、効率良くバイオエタノールを生産することができます。

◆ カ マイラズ変異体は細胞壁が薄い◆

この写真は、茎の断面を顕微鏡で観察したものです。左が普通のイネ、右がカマイラズ変異体です。2つの写真を見比べてみると、カマイラズ変異体 の細胞壁の方が薄いため、丸で囲まれた部分があまり染色されていません。
     


     普通のイネ         カマイラズ変異体

細 胞壁の多糖類が減っている

カマイラズ変異体では、細胞壁の構成成分であるβ-1,3:1,4-グルカン(多糖類の一種)が減少していること がわかりました。現在は、どうしてこの成分が減っているのかを調べているところです。


 これが、β-1,3;1,4-グルカンという多糖です。
グルコースという単糖がいくつもつながってできています。

そ の他の実験

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特殊な顕微鏡を使 うと、普通の顕微鏡を使ったときより1000倍も倍率を上げて観察できます。左の写真は、イネの細胞を見たも のです。8 μmは髪の毛の直径の約1/10に相当します。細胞を拡大して見ることで、さ らに詳しい形態も調べています。





参 考文献

Li et al. (2003) Plant Cell 15: 2020-2031 (abstract)
Aohara et al. (2009) Plant Cell Physiol. 50: 1886-1897 (abstract)
・Kotake et al. (2011) J. Exp. Bot. 62: 2053-2062
(abstract)