<植物のGDP-Man合成反応におけるKONJACタンパク質の役割>
◆グルコマンナンとは◆
私たちの身近にある様々な食品には、人の消化酵素では消化することので
きない“食物繊維”が含まれています。食物繊維は、昔は体内に吸収されない「食べ物のカス」だと考えられていましたが、最近では、胃の中で水を吸って何十
倍にも膨れ上がるため便秘を防ぐほかダイエット食品としても注目されています。また、心筋梗塞、糖尿病などの生活習慣病の予防にも役立つことがわかってき
ました。グルコマンナンは、こんにゃくゼリーでおなじみの“コンニャク”の主成分であり、食物繊維のなかまです。グルコマンナンは、コンニャクだけでなく
様々な植物の細胞壁に含まれており、グルコースとマンノースという単糖 (部品) がおよそ2:3の割合で直鎖状につながった構造をしています。
◆グルコマンナンはどうやってでき
るの◆
では、グルコマンナンはどうやってできるのでしょうか。グルコマンナン
は、グルコースとマンノースという2種類の糖でできていますが、原料となっているのは、GDP-グル
コースやGDP-マンノースという糖ヌクレオチドです。CSLAという
酵素がグルコースやマンノースをつなげることでグルコマンナンは組み立てられていきます。グルコマンナンの合成は、CSLAの働き
とGDP-マンノースやGDP-グルコースの量によって決まります。したがって、GDP-マン
ノースはグルコマンナンを合成する上でとても大事な物質です。
◆研究内容◆
GDP-マンノース (グルコマンナンの原料) は、GTPとマン
ノース 1-リン酸からGDP-マンノースピロホスホリラーゼ (VTC1) という酵素によって作られます。私の研究では、このVTC1と一緒
に働いてGDP-マンノースの合成を助ける“KJC1”とい
う酵素について調べています。
◆こんな実験やっています◆
まず、大腸菌に植物でGDP-マン
ノースを合成する酵素であるVTC1やKJC1を作らせます。作らせた酵素はGTPやマン
ノース 1-リン酸と混ぜて反応させ、試験管内でGDP-マン
ノースを作ります。できたGDP-マンノースは、高速液体クロマトグラフィー (HPLC) という機械を使って分析します。この分析でどれくらいの量のGDP-マン
ノースが出来たかがわかります。VTC1だけでもGDP-マンノースを作りますが、KJC1がVTC1の働き
を高めるかを調べています。KJC1の役割がわかれば、グルコマンナンがどのようにできるかが解明され、グ
ルコマンナンをたくさん作ることができるようになるかもしれません。