HomeへResearchMemberへPublicationsへContactへLecture heAccess&Linksへ

Researchへ戻る

植物の細胞質翻訳制御系と翻訳後修飾系

 コムギ胚芽抽出液を利用する無細胞タンパク質合成系は、既に様々なタンパク質の調製技術として利用されています。現在のシステムでも多くの研究者にはツールとしては十分便利かも知れませんが、もともと混ざり物のブラックボックスである以上、やはり中身をもう少し良く知るべきであろうと考えています。この観点より、我々は随時、植物細胞の翻訳制御系の観点より、この無細胞系に特に影響の大きいタンパク質因子の解析を進めてきました。

 コムギ胚芽抽出液のシステムは、タンパク質合成に必要な全ての因子を含むだけではなく、タンパク質合成(翻訳)後の正しいタンパク質構造の形成に必要なシャペロンと呼ばれるタンパク質群や、タンパク質の修飾に働く酵素なども含んでいます。一方、細胞内には、栄養条件の悪化などに対応してタンパク質合成活性をコントロールする翻訳制御系も存在します。タンパク質合成の能力を最大限発揮させるためには、翻訳制御系がネガティブに働くことを極力回避する必要性が生じます。私たちは、主にタンパク質リン酸化および脱リン酸化によるタンパク質合成活性のコントロールシステムについてタンパク質レベルでの解析を進めています。ゲノム研究から得られた生物の遺伝子情報を利用して様々な生物系の産業に役立てるためには、個々の遺伝子がコードするタンパク質を生体内と同様に機能する形に再現する必要があります。生体内のタンパク質は単なるアミノ酸の羅列ではなく、正しい立体構造(フォールディング)を形成するために翻訳後修飾を必要とする場合が多々あります。私たちの研究室では、無細胞翻訳システムの応用技術として、分子内のシステイン同士が架橋するジスルフィド結合や、アセチル基やミリストイル基によるアミノ末端修飾などを制御する技術の開発を進めています。

参考文献(詳しくは"Publications"をクリックして参照下さい):Yamauchi et al. FEBS J., 277, 3596, 2010; Ohta et al. Protein Expression and Purification, 73,15, 2010; Kanno et al. Protein Expression and Purification, 52, 59, 2007

Researchへ戻る