モノの量には何らかの「単位」がついている。単位がついた数を有名数という。
同じ単位の数でないと足し算や引き算はできない。
単位が違っても掛け算や割り算はできる。→掛け算や割り算は単位を変換させる演算と見ることも可能である。
1本10円の鉛筆3本と1個50円の消しゴム2個を買うといくらになるか?
3(本)×10(円/本)+2(個)×50(円/個)=130(円)
単位のともなった演算であることが重要。
無名数はどういう場合に登場するか考えてみよう。
経済に関する指標はストックとフローに分類できる。 この両者は厳密には異なるが、しばしば簡略化のために同じ単位で書かれたりするから注意が必要。
ある1時点の量がストック。(人口、貯金残高、体重などなど)
ある期間に変化する量がフロー。(GDP、新車販売台数などなど)
あるフロー量はストックの変化と見ることもできる。例えば、1999年1月1日の人口(ストック)と2000年1月1日の人口(ストック)の差、すなわち1年間の人口の増減はフローである。
今日では経済に関する実に様々な統計データが集められている。一国全体のデータとしては(マクロ・レベル)GDPに関する統計や、産業間での1年間でのモノの売り買いをまとめた「産業連関表」、あるいは資金の流れをまとめた「資金循環表」などがフローのデータを集めたものである。
株式会社は「貸借対照表」と「損益計算書」との作成が義務付けられている。前者がストックから、後者がフローから1企業の活動状況をまとめたものといえる。
GDP(国内総生産)=1年間の国内の付加価値の合計 p.44
注意1 原材料費は2重計算しない。
注意2 付加価値の生産はモノだけではなく、サービス業でも行われる。また民間の企業だけではなく、公共団体や自営業でも生み出されている。
日本のGDPは約500兆円。この数字は頭に入れておこう。一人当たりGDPを計算してみよう。
大まかに言うと、原材料費(中間生産物の価値)を2重計算しないから、最終生産物の価値の合計が付加価値の合計と一致する。
GDPの変化率を「経済成長率」という。
生産面でみたGDP=分配面で見たGDP=支出面で見たGDP p.53
分配面GDP=家計の収入+企業の収入+政府の収入
支出面GDP=民間消費+民間投資+政府支出+(輸出−輸入)
日常的には「株や土地に投資する」と言うが、マクロ経済学での投資には株の購入などは入らないことに注意。投資の中心は生産設備を拡大するために、企業が行う機械の購入や工場の建設などである。これらは「設備投資」という。設備投資以外にも、投資には在庫投資などがある。上の式で(輸出−輸入)の部分を説明しておく。
さて売りに出される自動車は国内産の自動車と輸入した自動車である。
供給:国内総生産+輸入
買い手は民間企業と政府と外国人である。
需要:民間消費+民間投資+輸出
仮定よりこの二つは一致する。
GDP(国内総生産)+輸入=民間消費+民間投資+政府支出+輸出 .....(1)
上式がとても重要。ただし通常は、GDPを明確にさせるために、これを以下のように変形する。
GDP(国内総生産)=民間消費+民間投資+政府支出+(輸出−輸入) ....(2)
ちなみに、輸出−輸入のことを「純輸出」と呼ぶ。
ここまで売れ残りはないと想定してきたが、現実には売れ残りは生じる。売れ残りは民間投資の中の「在庫投資」として計上される。つまり、売れ残りも、統計的にはその企業自身が需要したものとして処理されるのである。
在庫投資とは在庫(ストック)の変化量(フロー)である。場合によっては、マイナスになることもある。