経済学の「貨幣」=現金+預金 105
貨幣の機能
手形:メーカーが部品を仕入れたり、小売店が問屋から商品を仕入れたりするときに、現金で支払うのではなく、手形を振り出すことで支払うことがある。期日がきたら、手形の持つ主は振り出し人から現金を受け取ることになる。要するに、手形は短期の借用証書のようなものと考えればよい。 119
手形の割引:手形の持ち主が手形の期日前に現金が必要になったとしよう。手形を銀行に持っていくと、期日前でも現金と交換してくれる。ただし、手形の額面金額よりも少ない現金との交換となる。これを「手形の割引」という。例えば、2ヶ月後に100万円を支払う約束になっている手形を、98万円の現金と交換してくれるといった具合である。 119
手形の再割引:手形を入手した銀行も現金が必要になることがある。その場合には、手形を日本銀行にもっていって現金と交換してもらう。このことを「手形の再割引」という。こうして日本銀行から手形と交換に日本銀行券が出て行くのである。こうして貨幣が供給されるのである。ちなみに、再割引するさいの割引率のことを公定歩合と呼ぶ。
手形は短期の借用証書であるが、長期の借用証書である社債(企業が資金を集めるために発行する借用証書)や国債と日本銀行券との交換を日銀は行っている。 121
貨幣の内訳を見ると、現金よりも預金の方がはるかに大きい。現金の何倍の預金が生み出せるかを信用乗数という。
現金を預けられた銀行は、支払いに備えて現金の一部を手元に残す必要がある。しかし、預金者が一斉に預金を引き出すことはないから、手元に残す割りはきわめて低い。手元に残さない分が企業などに貸し出されるのである。貸し出された現金が、やがては預金として銀行に戻ってくると考えられる。この預金は再度、一部は準備として、残りは貸し出されていく。こうして、現金の何倍もの預金が創造されることになる(信用創造)。 129