学生のための英語本

本学部の平均的な英語力(英検2級程度)の学生向けの英語関連の文献をあげておきます。
  1. 辞書類
    1. Longman Dictionary of English Language and Culture.→ AMAZON
      大学生なのですから、一冊ぐらいは英英辞典を手元におきましょう。とはいえ、全く検討もつかない単語を英英辞典で調べながら読むのは効率的ではありません。知っている単語の詳しい意味や用法を調べるために英英辞典を利用すべきです。初めて英英辞典を利用してみようという人には、やはりロングマンの辞書がお薦めです。ロングマンの辞書というと Longman Dictionary of Contemporary English (略称LDCE) が大変有名です。あまり知られていないのが、この Language and Culture です。これは LDCE と大きさも中身もほとんど同じです。LDCE に書かれていることは例文も含めて全部収録されてます。LDCE に収録されていない固有名詞などが収録されていることと、その単語から一般に連想されるものなどを解説した Cultural Note という欄が付けられていること、これが相違点です。有名な映画俳優とかテレビ番組名などの固有名詞が、英米の雑誌にはしばしば登場します。外国人にとっては常識でも、日本ではあまり馴染みのない名前が多く、それをこの辞書はフォローしてくれます。LDCEの購入を検討している人は、値段は少々高くなりますが、こちらの辞書も検討してみましょう。

    2. Oxford Collocations Dictionary.→ AMAZON
      単語と単語の結びつきを collocation と言います。外国人にはこれがやっかいです。collocation の辞典としては、研究社から『新編英和活用辞典』というデカイやつが出ています。このCD-ROM版は例文集としてもたいへん便利なのですが、網羅的なので用法を一覧するのも大変です。そこで2000円程度で購入できる、この Oxford 版の辞典をお薦めします。colocation の数は限定されますが、その分、頻繁に登場するものだけを一覧できるというメリットがあります。例えば、dictionary の項目には、dictionary を形容するものとして、comprehensive, good, electronic, pocket, English, learner's, native-speaker, standard, ......が、結びつく動詞として、consult, look sth up in, use, compile, write, edit, publishが挙げられています。残念ながら例文は多くありませんが、英作文の際に威力をはっきするでしょう。また単語の使われ方に慣れるのにも向いています。

    3. ドナルド・キーン他監修『会話作文英語表現辞典』,朝日出版社. AMAZON
      実際に英作文のために使ってみると分かると思いますが、学習用の和英辞典は意外と役に立たないものです。あえて和英辞典を購入するのであれば、単語を探すという目的ならば、学習用の中型辞典ではなく、専門用語も扱っている研究社の和英大辞典を一冊買うことをお薦めします。しかし、通常の英作文でみなさんに必要と思われるのは、日本語に対応する英単語ではなく、日本文の意味を伝えるセンテンスの方でしょう。この『会話作文英語表現辞典』は「表現辞典」となっていますが、フル・センテンスの例文を集めた和英辞典のようなものです。見出し語は少ないのですが、よく出てきそうな日本文が沢山収録されています。使ってみると実感できますが、簡単な言い回しなのに英文がすぐに思いつかないような時に威力を発揮します。おそらく、日本語の頻度を意識して編集しているのでしょう。かなり実用的です。

    4. ケリー伊藤『英単語の使い方辞典 : 基本動詞編』,三修社.
      中学1,2年で登場する基本的な動詞の使い方が、フル・センテンスの例文を用いて解説してあります。用法の辞典ですが、むしろ通常用いられる数多くの例文を通じて、その単語本来の持っている意味やニュアンスを説明してようとする辞典といった方がいいでしょう。熟語的な表現も扱っています。例えば、callの項目では、"call it a day"とか"call a spade a spade"とか"call on the carpet"などがあげられています。英作文や英会話の勉強に役立つでしょう。アルファベット配列の辞典ですが、ヒマな時に通読した方が良いかもしれません。

    5. M.スワン『オクスフォード実例現代英語用法辞典』,研究社.
      Practical English Usage という原書の翻訳です。アルファベット配列で間違えやすい単語の用法を605項目取り上げた用法の辞典です。例文を用いてアメリカ英語・イギリス英語あるいは話し言葉・書き言葉の相違などを解説しています。外国人学習者へのヒントとなる「誤用例」もあげてあります。詳細な索引が付いていますが、目的のところに到達するのは少々難しいかもしれません。ヒマな時に通読するのが良いのかもしれません。英語好きの人ならば楽しく読めるでしょう。

  2. 文法書・英文解釈
    1. 綿貫陽他著『ロイヤル英文法』旺文社
      大学入試で出題される英文法問題はパターン化されているので、意外と知らないでいる文法事項が多いものです(近年は高校でもほとんど文法をやらないようですね)。そこで分からない文法事項を調べる文法書が必要となります。英語研究者向けには Quirk,R.S.et al., A Comprehensive Grammar of the English Language. という有名な分厚い文法書があります。しかし、相当の筋力と英語力がなければ使いこなすことは困難でしょう。この『ロイヤル英文法』は高校生用に書かれたものですが、大学受験用の参考書ではありません。値段の割には、細かい文法事項まで網羅されており、大学生向きの文法書と考えた方がよいでしょう。索引が充実していることや、例文がフル・センテンスになっていることから、英語学習者には使いやすいと思います。ただし、分からない事柄を調べるタイプですので、通読する読み物としては無味乾燥です。読み物タイプの文法書としては、定評のある江川泰一郎『英文法解説』がお薦めです。どちらか一冊は必ず手元に置きましょう。

    2. 朱牟田夏雄『英文をいかに読むか』文建書房
      かつての大学での英語の講義では、難解な英語を頭をひねりながら読解することにウェイトがおかれていました。大学入試もそうでした。7,8行の文章に1時間もかけさせて構文の把握力を判定する問題がざらでした。しかし、発信型を志向する現代の英語教育では、難解な英文は排除される傾向にあります。平易な英文を大量に消化する能力こそが重視されるようになりました。実用性という点では正しい方針だと思います。しかし、世の中には難解な英文も存在します。少々、知的な世界に足を踏み入れようとすれば、何度も読み返さないと理解できない類の英文を避けるわけにはいきません。ところが古いタイプの英文解釈の解説書が減りつつあるために、英語学学習者が難解な文章にふれることが困難になっています。1959年刊行の本書は古いタイプの代表です。モームとかラッセルなど、かつての大学入試によく登場した名文家たちの文章を素材にして、その読解方法が解説されています。多読・速読では得られない、難解な英文を読解する効果は、注意力を働かせて英文を読む姿勢を見につけるところにあります。本書で取り上げられている英文には、文法的には破格の用法もしばしば登場します。慣れてくれば、破格の用法もある種の規則性を持っていることが分かるようになるはずです。

  3. 英作文
    1. 佐々木高政著『英文構成法』金子書房
      『和文英訳の修業』という一昔前の英作文の参考書があります。同じ著者のロングセラーがこの『英文構成法』です。1949年発行以来、改版を重ねてきました。文型ごとに例文と解説・問題がある形式となっています。文型は文法体系に即したものではなく、あくまで学習者向きの実践的な分類となっています。解説がきわめて簡潔なので、一通りの文法知識がないと理解することが困難かもしれません。英語力がある程度あって英作文の勉強をキチンとしておきたいという方は、チャレンジしてみてください。問題を解きながら読破できれば、かなり力がつくはずです。情報量は相当多く、英文解釈の観点からも学ぶべきことが多いはずです。佐々木高政の息子のインタビューがありました→こちら

  4. リーディングズ
    1. J.Gleeson, The Moneymaker, Penguin Readers.