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2024年7月21日
現在
総合研究棟1階エコ・エレクトロニクス実験室Iの概要
実験室は総合研究棟1階,エコ・エレクトロニクス実験室Iになります。実験室が立ち上がりそれなりの時間が経ちましたので、装置もいろいろ更新されていきいきます。実験室には以下の装置が設置されています。
研究室に配属された学生は、研究の習熟度に合わせて、1人1台、適切な物性測定装置が任されます。やたら測定装置が多いのは、測定に時間がかかるためです。いろいろな分析装置などは、分析支援センターや他の大学に行って利用します。
実験室には、簡単なミーティングスペースがあり、できるだけテーブルの上にないにも無い状態を保つようにしています。打ち合わせも含めて、ざっといろいろなものを広げて電気回路を組んだりと、利用の仕方は様々なです。
最も歴史があることもあり、いろいろな機能が追加された重装備な測定装置です。磁場4テスラ,4.2〜300Kの温度領域で、全ての電気・熱物性測定が可能となる汎用物性測定装置です。こんなこともあり、上級者向きなので研究室では大学院生が担当する装置になります。
ヘリウムフリー超伝導コイル採用汎用物性測定装置の全体像となります。最大4テスラという大きな磁場が発生することから、安全の観点から装置から測定装置まで距離があります。装置には、ターボ分子ポンプならびにスクロールポンプによる真空排気系が接続されています。最近は静電気対策を施しています。
ヘリウム循環型クライオクーラーを2つ使用し、4テスラまで発生可能な超伝導コイルと測定サンプルを冷却します。最近は、超伝導コイルの内側に20ガウスまで発生可能なモジュレーションコイルが導入されました。低温物性装置は鈴木商館製のものを利用していますが、基本設計は研究室内で行われています。サンプル温度は4.2K〜320K程度まで制御可能で、特殊な温度制御機構によって4.200±0.001Kまでの超精密温度制御ができます。
ヘリウムフリー超伝導コイル採用汎用物性測定装置の全体像となります。最大4テスラという大きな磁場が発生することから、安全の観点から装置から測定装置まで距離があります。
制御用パソコンはWindows7を基本としており、National Instruments製LabVIEWを用いて制御プログラムは自作しています。研究室の学生が逐次更新して、これまでの全てのノウハウをプログラミング化しています。パソコンのモニタ周りにある全ての測定装置は、GPIB(General Purpose Interface Bus)を通してコンピュータ制御されています。デジタルマルチメータ類はKeithley製品、低温・温度制御関係はLakeShore製品、ロックインアンプについてはStandford Research製品を中心に使っています。電源ラインなどにも気をつけており、グランドループの回避やノイズカットトランスなどを導入することで、±50nV程度のノイズレベルで測定をしています。もちろん、状況にあわせて適切な制御器などの電気回路も自作しています。
基本的な構造は温度制御器×1,デジタルマルチメータ×5,回路スイッチシング装置×2,デジタルロックインアンプ×2(プリアンプ),電流源×2,超伝導コイル電源×1,ファンクションジェネレータ×1,モジュレーションコイル電流源×1,絶縁トランス×4で構成されています。
最近分かった細かいことは、パソコンとモニターをHDMIケーブルで繋ぐと、数μV程度のノイスが出ることから、パソコンとモニター間はRGBケーブルによる接続など、デジタルとアナログをうまく組み合わせています。この装置はかなり歴史と汎用性があることから、15台程度の装置をリアルタイム制御して、データ収集を行っています。
ヘリウムフリー汎用物性測定装置(4.2〜320K)
4.2〜300Kの温度領域で、磁場を発生しない環境下で電気・熱物性測定が可能となる汎用物性測定装置で、中級者向き,研究室では大学院生が担当する装置になります。ヘリウム循環型冷却を用いて、サンプル温度が4.2〜320Kまで制御可能な物性測定装置です。装置全体がシンプルになり、装置全体の構成がより分かりやすくなっています。
基本的な構造は温度制御器×1,デジタルマルチメータ×4,回路スイッチシング装置×1,デジタルロックインアンプ×1,電流源×1,絶縁トランス×1で構成されています。装置には、ターボ分子ポンプならびにロータリーポンプによる真空排気系が接続されています。
スターリング型汎用物性測定装置(100〜400K)
スターリングクーラーによる冷却機構を採用した100〜400Kの温度領域を得意とする物性測定装置です。装置の全体構成が比較的単純であることから、全体を把握しやすいことから、研究室に配属された学部4年生が担当する装置になります。そんなこともあり、ケーブルの一本一本を確認した上で、学生のアイディアに合わせて独自の装置構成に自由に変更可能で、かなり無茶をしても大丈夫な装置です。
基本的な構造は温度制御器×1,デジタルマルチメータ×2,回路スイッチシング装置×1,デジタルロックインアンプ×1(プリアンプ),電流源×1,ロータリーポンプによる真空排気系によって構成されており、物性測定装置としては充分です。
スターリング型汎用物性測定装置(150〜400K)
よりシンプルなスターリングクーラーを用いた冷却機構を採用し、150〜450Kの温度領域を得意とする物性測定装置です。研究室に配属された学部4年生が担当する装置であり、比較的高温もカバーできる特徴を持っています。この装置も基本設計は研究室内で行っていることもあり、学生のアイディアに合わせて独自の装置構成に自由に変更可能で、無茶が効きます。
基本的な構造は温度制御器×1,デジタルマルチメータ×2,回路スイッチシング装置×1,電流源×1,ロータリーポンプによる真空排気系によって構成されています。
ちなみに、昔使っていたMacPro2013(SSD変更)にBootCampを載せてWindows7を走らせていることもあり、懐かしいApple Cinema Display(20インチ)を使っています。
本研究室の特徴であるナノワイヤー熱電変換素子を作製するための専用装置で、ターボ分子ポンプとクロールポンプを使った真空排気装置ならびに高圧注入器が接続されています。真空排気装置によって、オートクレーブ内は10(-6)Paまでの超高真空に保たれ、四重極型質量分析器(QMA)によってリークチェックが行われます。オートクレーブはヒーターによって600℃までの昇温が可能となり、15MPaのアルゴンボンベから注入器を使って最大100MPaまで作り出すことが出来ます。100MPaまでの圧力を安全に取り扱うために、オートクレーブ炉の材質はハステロイC,接続配管にはコードアンドスレットを採用しています。オートクレーブ蓋の重さがあるため、クレーンが設置されています。
電気物性測定を行う際には、どうしても電極接合が必須となります。研究室ではガラスや金属などの無機物を扱うことが多いのですが、良好な電気接続を実現するために、真空中に設置されたCr, Ti, Cu, Ag, Auなどの金属材料を電子ビームで融解し、その金属蒸気をターゲット材料に薄膜として堆積させる方法(成膜)を採用しています。この装置は、高周波プラズマを発生させ、金属蒸気をイオン化して加速させることで、ターゲット材料とより高い密着性を実現できます。堆積速度は1〜30Å/sとゆっくりですが、真空排気や成膜をタッチパネルで実現するもので、プラズマなどの原理などを知らなくても、全ての学生が簡単に金属成膜の可能となります。
ナノ材料を手軽に扱うために、倍率20〜2000倍のデジタルマイクロスコープ,10nmクラスの表面の凹凸を感知できるレーザー顕微鏡が設置されています。マイクロスコープはリボルバータイプのズームレンズを使うことで、マイクロサイズのサンプルを見失うことが無いため非常に便利です。レーザー顕微鏡は、石英ガラス中の空孔やナノワイヤーの断線チェックなどにも使われ、実験室内で簡単にナノサイズに対応できます。
サンプル準備,洗浄,研磨などを行う専用作業台です。作業台の両脇には主導研磨機・自動研磨機が設置されており、ナノワイヤー熱電変換素子を含む固い材料から柔らかいサンプルを磨きます。壁にはビーカーなどを保管する専用棚が設置されており、加えて、4台の超音波洗浄機,1台のホットプレートが設置されています。作業性を上げるために、作業台の天板は赤色になっています。
揮発性の高い有機溶剤や、酸・アルカリを安全に扱うためのスクラバー付きのドラフターです。洗浄のみならずメッキ処理なども行えます。ちなみに、危険性の高い薬品は、このドラフターでは使うことを想定していません。クリーンルームなどの純水供給・廃液も想定した環境で、危険度の高い薬品を取り扱っていきます。
シリコンウエハーやナノ加工された材料にホコリなどがつかないよう、よりクリーンな環境でサンプルを扱い際に利用する専用ベンチです。顕微鏡や3Dプリンタによる4インチウエハ台などが設置さています。
ナノ加工部分からの電気信号を取り出すため電極パッド(約50×50μm2)へ、直径20μmのアルミ線を、超音波振動を使って電気接続するための専用装置です。接続されているマイクロスコープを用いて3次元的にアルミ線を移動させることができます。ナノ加工されたものは静電気に敏感であることから、アースにも気を遣っています。
実験室には3つの専用作業台があり、それぞれの作業台には基本マイクロスコープ,ホットプレート,ハンダコテが設置されています。静電気に弱い材料や、洗浄を必要とするものなど、取り扱う材料・サンプルが異なるため、それぞれに特化した作業台となっています。学生の1人1人が専用のピンセット入れを所有し、サンプル準備を行っていきます。
この作業台の顕微鏡には、モニターがついており、他の人の作業を確認しつつ、作業を覚えることが出来ます。
この作業台には、超音波洗浄装置などが設置されています。
液体窒素による冷却を利用した物性測定装置です。上部に液体窒素タンクが設置されており、下部よりサンプルを設置します。状況に応じて液体窒素を補給しなければならないので、スターリングクーラーによる冷却機構が出てきてから、あまり出番がなくなっていますが、冷媒を使ったトレーニングには必須となります。
研究室に配属された学生は、研究の習熟度に合わせて、1人1台、適切な物性測定装置が任されます。やたら測定装置が多いのは、測定に時間がかかるためです。いろいろな分析装置などは、分析支援センターや他の大学に行って利用します。
その他、よく使う装置などを挙げておきます。
■デジタルオシロスコープ
基本、測定はデジタルマルチメータなどで行うのですが、実験室のノイズをチェックするためにデジタルオシロスコープを多用します。
■ピンセット
取り扱うサンプルの大きさにも寄りますが、熱などの制御を考えると、直径25μmの銅線などを取り扱います。作業台に顕微鏡が取り付けられているのはこのためで、学生個人個人にとって取り扱いのし易いピンセットを使っていきます。このため、学生1人あたり、専用のピンセットを10本くらい持っています。
■加湿器
冬場になると乾燥することもあり、人もサンプルも静電気を嫌うこともあり、至る所に加湿器が設置されています。
■Yahooオークション,eBay
極めて高感度の測定する際は校正された装置を使うのですが、アイディア段階の実験や試しを行う際に、とりあえず装置が必要な場合があります。そんなときに利用するのがYahooオークション,eBayなど、格安で装置を入手できます。これはアメリカで覚えた技で、まずは安い装置を集めてざっくりとした試験をしてみて、方向性がうまく行った場合に、重点的に資金を投入しています。
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Last Modified : 2024年7月21日 (日) 11:47 am