グルコマンナンの可溶性の改良 

 植物糖鎖生物学研究室 西垣 南歩


・グルコマンナンの様々な機能

グルコマンナンは植物が持つ多糖であり、こん にゃくでは主成分です。グルコマンナンには私たちにとって有益な機能がありますが、「水への溶けやすさ」によってその機能が変わると考えられています。例えば、 水に溶けない不溶性のグルコマンナンは私たちの体内で消化されずに腸内を通るため、便秘解消などのおなかの調子を整える効果があると言われています。こ れに対して、水に溶ける可溶性のグルコマンナンは私たちの体内で血糖値や血中コレステロールを低下させるなどの効果があると期待されています。また、食物 繊維であるグルコマンナンが水に溶けると、何十倍にも膨れ上がるので、ダイエット食品としても利用されています。

グルコマンナンは植物において主に細胞壁の成分とし て存在するため、多くは不溶性の状態で蓄積していますが、一部のマメ科植物やアロエ、ランなどの植物では可溶性のグルコマンナンも多くみられます。

 

・グルコマンナンの可溶性

グルコマンナンの様々な効果には、グルコマンナン の溶けやすさが関わっていると考えられています。また、グルコマンナンの可溶性・不溶性の違いはその構造によって決まると考えられています。グルコマンナ ンの構造は図のようなグルコースオレンジ)とマンノース)がランダムに連なった多糖です。ここにガラクトース)やアセチル基ピンク)が多く結合すると可溶性になると考えられています。


・研究内容

ランでは 可溶性のグルコマンナンが比較的多く蓄 積することが分かっています。私の研究では、ガラクトースやアセチル基をグルコマンナンに結合させると考えられるランの遺伝子をシロイヌナズナに導 入し、可溶性グルコマンナンをシロイヌナズナの植物体内で増やせるかに挑戦しています。この研究で、グルコマンナンの溶けやすさがどのように制 御されているかを解明することができると考えています。グルコマンナンの溶けやすさを自在にコントロール出来るようになれば、今後私たちの求める効果を高 めたグルコマンナンを蓄積する植物を作れるかもしれません。