【報告】埼玉大学FD・SD研修 意識啓発セミナ- 「科学技術・学術分野における女性活躍から新たな未来が生まれる」
日時 2024年12月2日(月)15:00~16:30 オンライン
講師 室伏きみ子 氏
ビューティ&ウェルネス専門職大学 学長
お茶の水女子大学名誉教授、前・学長
埼玉大学FD・SD研修として、ビューティ&ウェルネス専門職大学学長の室伏きみ子氏をお招きし、ZOOM講演会を開催し、42名が参加しました。
室伏先生は、2015年から2021年までお茶の水女子大学の学長を務められ、国内で数少ない女性学長として女子教育を牽引されてきました。生物研究者でもおられ、内閣府男女共同参画会議議員として日本の政策決定にも携わり、企業における社外取締役等も務めるなど、そのご活躍は多方面にわたっています。
講演では、まず日本のジェンダーギャップの現状について説明がありました。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数において、日本は146か国中118位と依然として低位にとどまっており、政治・経済・研究・教育分野において女性の参画が遅れている実態が紹介され、特に、女性研究者の割合が他国と比べて低く、意思決定の場における女性の役割拡大が求められていることが強調されました。
続いて、無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)が女性のキャリア形成に及ぼす影響について触れられました。例えば、「女性は理工系が苦手」「母親は家庭にいるべき」などの固定観念が、女性の進路の選択肢を狭め、社会全体の成長を妨げる要因となっていることが指摘されました。
また、女性が活躍することによる社会的・経済的なメリットについても言及がありました。研究・開発分野における女性の参画が新たな視点をもたらし、イノベーション創出や市場の拡大につながることがデータをもとに示されました。特に、ジェンダード・イノベーションズやフェムテックといった分野での女性がそこに参画することの意義についてご教示いただきました。

講演の最後には、女性のキャリア形成を支援するために必要な施策について議論が行われました。ロールモデルの存在や、大学・企業における環境整備が女性の活躍を後押しする鍵となることが示され、参加者との活発な質疑応答が交わされました。本講演会を通じて、ジェンダー平等の実現に向けた課題と展望について理解を深めることができ、今後の取り組みの方向性を考える貴重な機会となりました。
参加者からは、「女性が出願人に含まれる特許の方が男性のみの特許よりも稼ぐ力が強いということについて考えてみたい」「女性をめぐる社会環境や現状について改めて知ることができた。」「国立大学の学長経験者が女性研究者支援について、FD・SDとして率直に伝えてくださることに意義がある」などの感想が寄せられました。