埼玉大学

ダイバーシティ推進センターCenter for Gender, Diversity and Inclusion

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【報告】第7回彩の国女性研究者・技術者ネットワークシンポジウム Women in manufacturing(製造業における女性)―日本における活躍の状況とその課題-

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日時 2025年1月28日(火)14:30~16:30 

会場 埼玉大学総合研究棟1号館1階シアター教室

講演者 日本女子大学家政学部准教授 額田春華氏

    工場女子コミュニティ・オーガナイザー 廣阿季氏

座談会登壇者 上記2名に加えて

日本ピストンリング株式会社 総務部キャリア開発グループ グループリーダー 高橋明弓氏

日清紡マイクロデバイス株式会社 管理本部人事部採用育成課 専門課長 橘和美氏

1月28日(火)、第7回彩の国女性研究者・技術者ネットワークシンポジウムを開催しました。今年度は、「Women in manufacturing(製造業における女性)―日本における活躍の状況とその課題-」をテーマに、本学教職員・学生を始め、彩の国女性研究者・技術者ネットワーク参画機関の方々、他大学、民間企業・公的機関の方々等、約50名の方が参加されました。

田代美江子副学長(ダイバーシティ推進担当)の開会挨拶の後、日本女子大学家政学部の額田春華准教授による講演(タイトル:製造業におけるダイバーシティ経営と女性のライフ・キャリアデザイン)があり、日本の労働市場における女性の管理職比率が依然として低いこと、また、それが企業文化や制度の問題に起因する点が指摘されました。特に、富山県の事例を通じて、女性の正社員比率が全国平均より高いにもかかわらず、管理職比率が低いという課題が浮き彫りになり、ワークライフバランス施策の導入と男女均等施策を両輪として進める必要があることが強調されました。制度の整備だけではなく、組織文化の変革が不可欠であり、リーダー層の理解とサポートがカギとなることが示されました。

その後、工場女子コミュニティ・オーガナイザー廣阿季氏による講演(タイトル:自分に胸に手を当ててドキドキ☆わくわく☆ほっとすることを選択していこう!工場にいる技術屋が育休明けに苦しみの中に立ち上げたコミュニティ『工場女子会』を事例にして))があり、ご自身の工場での管理職としての経験から、深夜対応や緊急対応が求められる環境での女性の働き方、女性目線の改善案を求められることによるプレッシャー、管理職への昇進に対する女性自身の葛藤と組織文化の影響等についてお話いただきました。職場に女性の数が多ければ必ず組織文化が変わるという訳ではないこと、またインフォーマルな部分での同僚との関わりが業務上のリーダーシップに関わってくるなど、これまでの研究等で十分に説明されてこなかった現場のリアルを伝える内容に、学生をはじめとする参加者は熱心に耳を傾けていました。

彩の国女性研究者・技術者ネットワーク参画機関を交えての座談会では、日本ピストンリング株式会社の総務部キャリア開発グループ グループリーダー 高橋明弓氏、日清紡マイクロデバイス株式会社の管理本部人事部採用育成課 専門課長 橘和美氏にもご参加いただき、各社の紹介、女性の活躍状況なども踏まえてお話いただきました。製造業で活躍する女性を支援するため、人事でご活躍されるお二人が現場との距離を近く保ち、現場のニーズの十分な理解を大切にされていることが非常に印象的でした。

シンポジウム参加者からは、「女性活躍推進について、ポジティブ、ネガティブ両面からの視点があることを学べた。」「技術者目線での話を聞く機会がなかったので勉強になった。」「自分(女性)が製造業で働いていく上での壁や今後出てくる悩み、その対処法を知ることができた。」「女性が働きやすくなるように活動している人がいると実感し、勇気づけられた。」「工場内での女性の立場を聞くことが新鮮だった。」などの感想が寄せられました。