災害×ダイバーシティセミナー JVOAD作成『被災者支援コーディネーションガイドライン<多様性配慮>』~多様性に配慮した被災者支援について~ 開催報告

■開催日時:2025年6月30日(月)10:00~12:00
■開催方法:対面
■開催場所:埼玉大学 総合研究棟1号館 シアター教室
■参加者:30名
■講師
JVOAD事務局長 明城徹也さん
減災と男女共同参画研修推進センター 浅野幸子さん
進行/埼玉大学ダイバーシティ推進センター 瀬山紀子
2025年6月30日に、埼玉大学社会変革研究センターレジリエント社会研究部門・埼玉大学ダイバーシティ推進センター主催、損害保険ジャパン株式会社埼玉中央支店共催で、災害×ダイバーシティセミナーとして<JVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)作成『被災者支援コーディネーション ガイドライン<多様性配慮>~多様性に配慮した被災者支援について~』>を開催しました。
学習会では、はじめに、JVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)事務局長の明城徹也さんから、JVOADが、災害時の被災者支援活動を効果的に行うこと、また将来の災害に対する脆弱性の軽減を目的に設立された経緯をお話しいただきました。また、これまでの災害支援の活動を通じて、子ども支援、外国人への支援など、さまざまな被災者支援コーディネーション ガイドラインを策定してきていること、そのなかで、最新のガイドラインとして多様性配慮ガイドラインを策定した経緯についてお話をいただきました。また、明城さんからは、能登半島地震における災害中間支援の取組やそこで見えた課題などについてもお話をいただきました。
続いて、減災と男女共同参画研修推進センターの代表・浅野幸子さんから多様性配慮ガイドラインの作成に関わった立場から、被災者支援において、人びとの多様性、とりわけ、年齢・性別・障害・健康などに関わる脆弱性に目を向ける必要があること、また、脆弱性は不利な状況を招く側面と同時に、レジリエンス(回復力)につながる力にもなりうるとのお話があり、脆弱性と対応能力の両面を見る必要性についてお話がありました。また、性的搾取や虐待、性暴力への対応も、多様性配慮の重要なテーマだとした解説がありました。
本学・瀬山は、ガイドライン作成に関わった立場から、障害のある被災者の抱える課題と、性的マイノリティの抱える課題についてガイドラインに記載した内容を紹介しました。
セミナーには、学内の関係者のほかに、埼玉県で災害ボランティア活動を行ってこられた団体・個人の方、また、地方自治体の担当者、民間企業の方、障害者団体関係者など、多様な参加者があり、後半のディスカッションでは、これまでの取組のなかで感じてきた課題や、日常的に感じている災害時に予想される困難などが話され、より具体的な災害対応や連携を深めたいという意見が出されました。
■参加者アンケートより
・災害が起こった際を仮定して普段から関係各所で連携を図り、多様性の問題までしっかり仮定して対応していくべきだと思いました。埼玉県内でご協力いただける団体や企業様に声かけを行い、みんなの力で手を取り合いながら助け合っていける環境を作っていきたい。
・災害時の被災者支援と日頃からのインクルーシブな地域づくりは密接に結びついていると考えています。多様な人々が抱える困難を理解し、そのニーズに応じた支援体制を構築することが、災害に強い社会を作る上で不可欠であると思います。
・人権を担当している立場として、上記の様々な課題に対する具体的な対策や人権目線で被災時の避難所等における差別や偏見を無くすために必要なこと、実際の避難所において効果的だった取り組み事例など、次の機会があれば知りたい。
◆参考資料
JVOAD発行『被災者支援コーディネーション ガイドライン<多様性配慮>』
https://jvoad.jp/wp-content/uploads/2025/04/14393636f4fc8597f627834789367046.pdf