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2024.03.25(月)更新
埼玉大学FD・SD研修 意識啓発セミナー
若手・中堅研究者とダイバーシティ推進
「生命科学研究者としての振る舞いの一事例」
日時 2024年3月1日(金)14:40~16:10
会場 埼玉大学 総合研究機構棟1号館シアター教室 ※zoom参加可
講師 成川 礼 先生(東京都立大学 大学院理学研究科 准教授)
対象 埼玉大学教職員/学生/その他ダイバーシティ推進に興味のある方
今年度2回目となるFD・SD研修 意識啓発セミナーは、東京都立大学から成川礼准教授をお迎えして、若手・中堅研究者とダイバーシティ推進をテーマに「生命科学研究者としての振る舞いの一事例」をご講演頂いた。成川氏は男性で初めて公益社団法人日本植物学会ダイバーシティ推進委員会(旧男女共同参画員会)委員長を務められ、光合成学会若手の会の立ち上げ・運営に携わった経験がある。
開会に先立って、田代副学長(ダイバーシティ推進・キャンパス環境改善担当)が、埼玉大学のダイバーシティ推進の状況と現在数々の取組が加速しており今回の研修会もそのひとつであることを説明した。その後、成川先生がキャリアトラックと家族形成を時系列で説明し、そこでの障壁とそれを乗り越えるための実践を紹介した。研究内容に加え、研究テーマをどう見つけたのか、博士取得後の研究活動の経緯など、多くの参加者、特に博士課程の学生やポスドクの研究者が興味を惹かれる話題が続いた。繰り返し述べられていたのは、コツや秘訣などの役立つ情報=tipsを収集し共有することの重要性である。SNSなどオンライン上でのやりとりだけではなく、実際に顔を合わせて時間を共有することでtipsは得られる。キーワードとして挙げた“serendipity”は偶然に遭遇する思いもよらない幸福/価値のことを指すが、tipsの収集と活用が“serendipity”を促すことも含意された。
あっという間に時間が過ぎ、後半の若手の活動や国際的視野に立った研究など、研究者がつくるネットワークについては語り足りなかったかもしれない。講演後のディスカッションでは、日本植物学会での女性の増加について(大学院生)、学会活動や社会活動などの大学外での活動の増加とワーク・ライフ・バランスについて(教員)質問が出た。統計の取り方や研究と個人の生活の境目が作りにくいアカデミアの状況に話が及んだ。
参加者アンケートでは、これから研究者として生きていくためにとても参考になった、という意見が多かった。また、今後も今回のように研究者が自分の生活と研究を語る、という内容の講演会をしてほしい、という要望も複数寄せられた。成川先生のお人柄からか、時には笑みがこぼれる場面もある、和やかな研修会
になったことも、高い評価につながったと思われる。
今回の研修会は、ダイバーシティ推進センターの教員が男女共同参画学協会のシンポジウムで成川先生の講演に感銘を受け、センター内の日本植物学会に所属する教員に相談し、成川先生と同門の本学大学院理工学研究科の日原由香子教授に取り次いで頂き開催に至った。日原教授には閉会の挨拶もお引受けいただいた。この場を借りて、成川准教授および日原教授に厚くお礼を申し上げる。