Role
Model

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研究者になりたいという希望を持ち続ければ 、自分だけの道を拓くことができる

埼玉県環境科学国際センター

研究推進室 副室長

松本利恵

埼玉県立川越女子高等学校、埼玉大学工学部環境化学工学科出身

略 歴

1987年 ~ 埼玉県公害センター大気騒音部大気環境科
(略)
2000年 ~ 埼玉県環境科学国際センター大気環境担当
2006年埼玉大学大学院(博士後期課程)理工学研究科修了
2016年 ~ 現職

研究者を目指したきっかけは?

子どもの頃から研究者への憧れはあったのですが、就職難だった当時、女性でも長く働けることを考え、公務員を目指しました。入庁後は、公害センターで6年間ほど大気調査を行いました。大学では大気環境に関する研究をしていたため希望通りの仕事でしたが、その後、異動となりました。再び環境に関わる仕事がしたいと思っていたので、環境科学国際センター開設時の研究職の募集に応募しました。

現在はどのような研究をしていますか?

当センターでは酸性雨調査を担当し、降水や大気中のガスや粒子中の水溶性成分の測定や調査結果の解析をしています。主にモニタリング調査を行い、そこでの数値が自分の研究にも繋がっています。大気は流れるもので境目がないことから、この分野の研究は全国のネットワークが充実しています。他の自治体の研究員と共同研究を行うこともよくあり、先日は大気環境学会年会で「全国酸性雨調査-乾性沈着(沈着量の推計)-」について発表しました。

研究をするうえで心がけていることは?

環境濃度のモニタリング調査で、高濃度出現の原因究明など疑問に対して、何か仮説を立てた場合に思い込みをしないようにしています。仮説に対して都合のよいデータをそろえるのではなく、さまざまな視点から不都合なデータについても検証していきます。また、研究においても周囲の協力は必要なので、周りの人たちとお互いに助け合うことも大事にしています。

今後のビジョンを聞かせてください。


私が研究を始めた頃に比べれば空気自体は格段に綺麗になってきているのですが、埼玉県の大気環境では光化学オキシダントやPM2.5など環境基準を達成していないものがあります。県民の生活に関わる課題の研究を進めることで、これからも環境の改善や県民生活の向上に役立っていくことができたらと考えています。そして、観測技術や分析技術などのノウハウを引き継ぎ、後進の育成にも力を入れていきたいです。

女性にとって働きやすい職場ですか?

県職員には、研究者以外でもさまざまな部門で活躍している女性がたくさんいます。公務員は、育児休暇や介護休暇などの制度が整っているので、女性にとって働きやすい環境だと思います。他の地方環境研究所でも、女性の研究者が調査結果をまとめて積極的に学会発表をしたり、論文投稿をしたりしていて刺激を受けています。

これから研究者を目指すあなたへ

学生時代、研究者になるのは難しいだろうと半ば諦めていたので、ここまで続けてこられたことに自分自身が驚いているくらいです。学部から大学院に進んで研究者になるのが王道ですが、私は学部を卒業して公務員になり、社会人として博士の学位を取り、研究を続けてきました。希望を持ち続けていれば、自分だけの道を拓くことができます。こうあるべきと決め
るのではなく、自由にいろいろな選択肢があるので、広く情報を集めて自分に合った道に進んでいってください。