女性研究者のロールモデル
Role
Model
03
研究とは物事を突き詰めていくこと、 どんなときも諦めずに自分を貫いてほしい
埼玉県産業技術総合センター
北部研究所 副所長
小島 登貴子
埼玉大学工学部環境化学工学科卒業
略 歴
1984年~ 埼玉県大久保浄水場 水質課
1988年~ 埼玉県中央環境管理事務所
1991年~ 埼玉県食品工業試験場
2004年 埼玉大学大学院(博士後期課程) 理工学研究科修了
2005年~ 埼玉県 新産業育成課
2008年~ 北部研究所 技術・事業化支援室 室長
2018年~ 北部研究所 副所長
研究者を目指したきっかけは?
大学卒業後は早く社会に出たいと就職を選びました。当センターの前身である食品工業試験場に配属以来、企業の技術的な支援を行なってきました。企業の課題を解決するために、専門分野について大学や研究機関の先生の指導を受けながら研究に携わってきました。その先生の勧めもあり、埼玉大学に社会人入学をして博士課程を修了しました。ある時点ではっ
きりと研究者になろうとしたのではなく、どちらかというと私は技術者を目指していたような気がします(笑)。
現在はどのような研究をしていますか?
これまで埼玉県産の小麦を活用した麺類の製造や、ゆで麺の食感評価方法の技術開発をしてきました。ある企業からうどんの色について相談があり、イタリアのパスタに関する文献を参考に実験をして提案したところ、特許を取得することができました。他にも、地粉の香りの特長を客観的な数値で示したり、どの成分が高いと香りが良くなるのかといった分析など
も行なっています。こういった研究の成果は学会でも発表しています。
研究をするうえで心がけていることは?
社会人になるまでは、人前に出て話すことがとても苦手でした。でも、どうしても伝えたいことがあればあがらずに話ができると気づいたんですよね(笑)。以来、下手でもいいから自分の考えを伝えるようにしています。そうしていくことで、先生や先輩方から指導を受けられたり、いろいろな仕事に結びついたり、独りよがりにならずに研究を進めることができます。
今後のビジョンを聞かせてください。
これからも企業の課題解決につなげられるよう、相談や技術支援に尽力していきたいです。そして、マネジメントをする立場となった今、後進の育成にも力を入れていきたいです。若手研究者は真面目で熱心な方ばかりで、私自身も非常に勉強になります。これまで築いた先生や研究者たちとのネットワークを共有して、互いに成長していくことができたらと考えています。
女性にとって働きやすい職場ですか?
私自身、二人の子どもを育てながら仕事を続けてきました。特に上の子を出産したときはまだ制度が整っておらず産休も半年ほどでしたが、家族や職場など周りのサポートのおかげで仕事と家庭を両立することができました。最近は子育て支援のさまざまな制度が充実しているので、女性も研究者や技術者として長く働くことができると思います。
これから研究者を目指すあなたへ
埼玉県では研究職だけでなく行政職でも理系の女性が多く、食品関連企業の品質管理や製品開発部門でも女性研究者が活躍しています。私もそうですが、大学の専門分野が就職後の研究に直結しないことがよくあります。それでも、焦らず諦めずに仕事を追求していくと、自ずと道が拓けていきます。物事を突き詰めていくことが“研究”ですよね。いろいろな
ことがあると思いますが、どんなときも自分を貫いていってほしいです。