女性研究者のロールモデル
Role
Model
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苦労して研究を重ねた成果が、最終的に製品としてカタチになる
シチズン時計株式会社研究開発センター
開発部企画課課長
塚田京子
研究者を目指したきっかけは?
学生時代は理学部で有機化合物の研究をしていたことから、企業の研究開発部門への就職を志しました。人に喜んでもらえるようなコンシューマ向け製品に関わりたいと考え、当社に決めました。研究開発という仕事が想像以上に面白くて、入社をしてから仕事を長く続けていきたいと思うようになりました(笑)。安定した業界でのんびりした社風も合っていて、異
動もなく研究職を続けることができました。
現在はどのような研究をしていますか?
入社当初は液晶パネルのプロジェクトに配属され、材料開発の評価を行いました。車載用の液晶テレビとなって売られているのを見たときに、自分のやってきた研究がカタチになっていることがとても嬉しかったのを今でも覚えています。管理職となった現在は、研究開発をサポートする立場として、時計だけでなく工作機械やLEDなど、シチズングループ全体に関わるさまざまな研究開発に関わっています。
研究の面白いところは?
研究開発では、答えのないことを自分で考えて、どうやったらゴールまで行き着くことができるかを追求していきます。目の前のことをするだけでなく、一歩先を見ながら研究を進めていかなくてはいけません。ときには何度も失敗をしたり、決して簡単なことではありませんが、努力を重ねてきたことが成果として製品になります。多くの製品につながり、お客様の元に届いていくことは、この仕事をしているからこそ得られる醍醐味だと思います。
仕事をするうえで苦労していることは?
管理職として課のマネジメントや部門運営など、実務以外の調整や交渉が増えてきました。理系人間の苦手とするところですが、会社全体をさらに理解でき、新しいステージに進むことができました。これまでの経験を通じてできた人脈を生かすこともできています。当社には女性研究者が多く在籍し、管理職も複数名います。私は部門内の女性では最年長に近いので、後輩たちの目標となるように頑張らなくてはと思っています。
ワークライフバランスは取れていますか?
育休やフレックスタイムなどの制度を利用して、二人の子育てをしてきました。上の子はもう20歳になります。他の社員も同じように仕事と家庭を両立していて、出産を機に退職する人はほとんどいません。最近は、男性社員も育児休暇を取得するようになってきています。家事は手抜きをしても仕事は手抜きをできないので残業になることがありますが、家庭に仕事を持ち帰らないようにしています。子どもが幼いうちは家庭重視になるなど、全体のキャリアを通じてバランスを取ることができればいいと考えています。また、家族や上司・同僚の理解と協力があってこそ、ここまで続けられたと感謝しています。
これから研究者を目指すあなたへ
理系の皆さんの「論理的な思考」というのは、研究活動だけでなく、ビジネスの場において、どの仕事でも必ず役に立ちます。私自身、学生時代とはまったく異なる分野の研究を経験し、現在は管理業務を行っていますが、入社をしてから新たに興味が湧くことがあるものです。この研究をしてきたからこれをやりたいというのではなく、広い視野でいろいろな分野に興味を持ってもらえたらと思います。