埼玉大学

ダイバーシティ推進センターCenter for Gender, Diversity and Inclusion

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【報告】「プリズン・サークル」上映会を開催しました

NEWS

2023年6月30日・7月1日、埼玉大学研究機構棟7階大会議室にて、ドキュメンタリー映画「プリズン・サークル」(坂上香監督/2019/136分)の上映会&監督を交えたトークセッションを開催しました。

参加者は一般市民、本学学生、教職員を合わせて、両日で85名でした。

上映した映画は、官民協働で運営されている刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」を舞台にしたドキュメンタリー作品です。この映画では、日本の刑務所で唯一取り組まれている受刑者同士の対話をベースにした回復のプログラム、「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」の実践に焦点があてられ、受刑者の更生に向けた歩みが映し出されていきます。

(写真 坂上香監督)

監督を交えたトークセッションでは、監督から、映画制作に至る背景や制作プロセス、刑務所でのカメラ撮影の苦労や、出演者たちとのその後の関わりなどがお話されました。またお話のなかでは、映画に出てくる「サンクチュアリ」、心から安全だと思えて、本年で語り合える場所、失敗しても、皆が認めてくれる場所が刑務所の外にどのくらいあるだろうか、という投げかけがあり、刑務所での実践によって照らされた社会の側の課題が浮き彫りにされました。加えて、刑務所のなかにあるジェンダー規範の問題や、性教育の必要性についても言及がありました。

後半は、参加者同士の感想交換・全体共有を行い、最後は全体で、教育のあり方の課題、生きづらさを抱えている人たち、暴力や虐待の被害にあっている子どもたちの「居場所」づくりの課題、安心して話せる場や関係性を広げていくことの必要性等について話がありました。

関連書籍
坂上香『プリズン・サークル』岩波書店、2022
映画「プリズン・サークル」公式ホームページ
https://prison-circle.com/

関連動画
・「仮設の映画館」『プリズン・サークル』坂上香監督ティーチイン(TOFOO FILMS)
https://www.youtube.com/watch?v=E6i1xpoDOec

◆参加者の感想
・誰かに聞いてもらう体験というのがいかに大事なのかと改めて感じた。これは刑務所での取り組みだけど、学校でも、このようなプログラムがあればもっと違う社会になるのではないかと思った。

・このような貴重な機会を企画していただき、大変感謝しています。語ること、聴くこと、聴いてもらうこと、対話することが、人の回復の力になるということのドキュメンタリーを見せていただきました。人が人と暮らす中で、自分の感情を扱う力というものについて考えさせられました。

・今までは私自身多様性の中に受刑者の方を入れて考えていなかった。彼らの罪や過去、感情への向き合い方を見て私達となんら変わりない一人の人だと気付いた。今後は彼らも多様性の中に内包して考えなければならないと実感した。私が今まで言葉にしようとしなかった考えや感情を彼らが人前で伝えている様子を見て、自分の気持ちを人に伝えることができてすごいなと思った。それに自分の思いをあんなに吐露できる環境にいることが少し羨ましくなった。