埼玉大学

ダイバーシティ推進センターCenter for Gender, Diversity and Inclusion

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セミナー報告《関東大震災から101年被災者支援に動いた女性たちの記録を読む》

REPORT

開催日時:2024年10月31日(木)16:20~17:50
開催方法:ハイブリッド
開催場所:埼玉大学 総合研究棟1号館 シアター教室
参加者:80名(オンライン参加43名)
★埼大YouTubeチャンネルでのアーカイブ配信あり

講師:浅野富美枝さん
元宮城学院女子大学教授(家族社会学)
宮城学院女子大学・生活環境科学研究所客員研究員
埼玉大学教養学部卒業。法政大学社会科学研究科修了。著書に『関東大震災 被災者支援に動いた女性たちの軌跡』(生活思想社、2023)、『3.11「人間の復興」を担う女性たち―戦後史に探る力の源泉』(生活思想社、2016年)、共著に『災害女性学をつくる』(浅野富美枝・天童睦子編著、2021年、生活思想社)、みやぎの女性支援を記録する会編『女たちが動く―東日本大震災と男女共同参画視点の支援』(2012年、生活思想社)等がある。

10月31日に、埼玉大学社会変革研究センターレジリエント社会部門・埼玉大学ダイバーシティ推進センター主催、協賛・自然災害研究協議会関東地区部会で、災害×ダイバーシティセミナー<関東大震災から101年 被災者支援に動いた女性たちの記録を読む>を開催しました。

セミナーでは、冒頭に、浅野富美枝さんから、関東大震災の時の障子の間仕切りで区切られた避難所の様子と、2016年の熊本地震での避難所の様子、さらに、今年(2024年)の元日に発生した能登半島地震の避難所の様子と、4月に発生した台湾東部沖地震での避難所の様子が示され、避難所の課題が現在も継続していること、また平常時からの官民の連携が重要であること等についての言及がありました。

その後、関東大震災の被害の概況と、なかでも、被災女性の状況に焦点を当てたお話があり、遊郭や紡績工場で特に大きな被害があったこと、また当時、詳細な男女別の失業者調査が実施され、失業者数の男女での顕著な違いに言及した政策提言等があったことも話されました。

さらに、関東大震災の後の新聞記事などから、性被害の記事が多くみられたこと、また、被災当初困ったこととして、「デマ」の流布に言及する声が多く残っていることについても詳しいお話がありました。

後半は、関東大震災後の女性団体等による被災者支援活動の詳細についての報告があり、生きる力と生活を復興する、「人間の復興」の大切さや、つながることやネットワークの大切さについての言及があり、関東大震災の女性たちの動きから私たち自身が学べることが多くある話されました。

当日は、授業の一環として受講した学生のほか、一般市民、大学関係者、NPO団体、民間企業、地方議会関係者など幅広い方にご参加いただきました。

アンケートから参加者の声の一部を抜粋して紹介します。

・歴史を学ぶこと、歴史から学ぶこと、地域に残された記録を掘り起こし伝えることの大事さを、改めて教えられた。震災直後から宗教や思想から活動をしていた女性団体が、違いを超えて支援活動に立ち上がり、女性たちのネットワークとして支援活動を始めていたことは今回初めて知りました。(一般市民)
・たいへん内容の濃い貴重なお話をありがとうございました。大正期の女性たちのパワーに感銘を受け、歴史に学ぶことの大切さを非常に感じました。(一般市民)
・今回の授業を通して、過去から学んで未来に活かすということの重要さがさらに感じられました。平常時の生活の問題が災害時の弱ったときにより顕著にみられてしまうため災害時だけの問題などではなく普段から解決しようとする意識が必要だとわかりました。(学生)
・平和でなければ防災は成り立たないこと、災害の教訓が戦時体制に利用される場合があること、ヘイトクライムにもジェンダーが関わっていること、過去の災害と現代の災害に多くの共通点があることなど、社会の問題は、横にも、時間軸で縦にも、相互に関わっているということがよく分かる講義だった。(学生)