災害×ダイバーシティセミナー ドキュメンタリー「逃げ遅れる人々 東日本大震災と障害者」上映会 開催報告

開催日時:2025年10月29日(水)14:40~16:10
開催方法:対面開催
会場:研究機構棟7階大会議室
参加者・51名(一般参加13名・学生38名)
上映作品:ドキュメンタリー「逃げ遅れる人々 東日本大震災と障害者」
監督:飯田基晴 製作:東北関東大震災障害者救援本部
2012年/日本語/74分/日本語字幕あり
ドキュメンタリー映画「逃げ遅れる人々 東日本大震災と障害者」を上映しました。映画は、2012年に制作された作品で、2011年の東日本大震災後に、福島県を中心に、東日本大震災・原発事故で被災した障害のある人たちと、障害のある人たちに関わる人たちの証言をまとめたドキュメンタリーです。映画では、被災直後の福島県南相馬市で知的障害のある人の生活支援を行っている「デイさぽーと ぴーなっつ」や、福島県いわき市の「いわき自立生活センター」、福島県田村市の「福祉のまちづくりの会」などが登場するとともに、岩手、宮城、福島での、障害当事者によるピアサポート活動を行った東北関東大震災障害者救援本部の活動が記録されています。
作品のなかで、ある障害当事者は、障害ゆえに、地震や津波から身を守れず、また必要な情報も得られなかったという経験を語り、また、「ここではとても生活できない」「周囲に迷惑をかけるから」と、多くの障害者が避難をあきらめざるを得なかったという複数の人たちの声も紹介されます。仮設住宅での移動困難の問題や原発事故による避難を経験した人たちによる苦渋の選択や心身不調についても取り上げられています。
東日本大震災では、障害者の死亡者率が被災地全体の死亡率に比して2倍、地域によってはそれ以上高かったことが指摘されています。この作品は、震災で「逃げ遅れた」人たち、また、避難所にたどり着いてもそこに居続けることができなかった人たちがいたことを、証言によって明らかにしています。
セミナーは、授業(ダイバーシティ福祉論)の一環でもあり、学生と一般市民の方とが同時に受講しました。
アンケートから参加者の声の一部を紹介します。
・災害時における障害を持つ当事者や、その周りの人々でなければ想像もつかないような多くの重要な問題を知ることができ、非常に有益であった。
・見過されてしまう事実に焦点を当てて、我が事として考える種をもらえた。
・震災という同じ出来事の中でも、立場によって経験の重さや厳しさが全く異なることを痛感しました。障害のある人々が「ここでは生きていけない」「迷惑をかける」と避難をためらった背景には、避難所の環境や社会の理解不足が大きく関わっていたことが心に残りました。
・災害は誰にでも起こりうるものである一方で、社会的弱者ほど被害を受けやすいという現実を改めて実感した。今後、私たち一人ひとりが災害時にどのような配慮や行動ができるのかを考え、共に支え合える社会をつくる必要があると、非常に強く感じた。
・障がいに関する専門的な知識がないからと言って無力なのではなく、避難所で障がいのある方を見かけたら声をかけたり、話しをしたりとできることはあると思いました。みんなの少しずつの想いがあることで、障がいのある人も遠慮なく避難所にきて、困ったことを声に出せるようになるのではないかと感じました。
◆関連リンク
ドキュメンタリー「逃げ遅れる人々 東日本大震災と障害者」http://www.j-il.jp/movie/index.html
