【開催報告】第17回ダイバーシティ推進センター講演会

2026年6月23日(火)、「第17回ダイバーシティ推進センター講演会」を開催しました。本講演会は、2020年に策定された「埼玉大学ダイバーシティ宣言」の理念に基づき、多様な人々の人権を尊重し、誰もが安心して学び、働き、活躍できる環境づくりを目指して実施されているものです。今年度は、6月のプライド月間にあわせた「SAIDAI Pride Month 2026」キャンペーンの一環として開催しました。
講師には、一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣氏をお迎えし、「知らないままにしないための性の多様性入門」をテーマにご講演いただきました。松岡氏は、Yahoo!ニュースなどのメディアを通じて積極的に情報発信を行っており、LGBTQ+をはじめとする性の多様性について、わかりやすく社会に伝える活動を続けています。
講演ではまず、6月が世界各地でプライド月間とされている背景についての説明がありました。これは、1969年6月にアメリカ・ニューヨークで発生した「ストーンウォールの反乱」を契機に、性的マイノリティの権利運動が大きく前進した歴史に由来します。この出来事を記念し、毎年6月には各地でパレードや啓発活動が行われるようになりました。プライド月間は、多様な性のあり方を尊重し、権利と尊厳を可視化する重要な機会とされています。
次に、「性の多様性」という言葉が指す内容について、性自認や性的指向といった基本的な概念の整理から丁寧に解説が行われました。そのうえで、私たちが日常生活の中で無意識に抱きがちな前提や思い込みが、マイノリティの人々にとってどのような困難や生きづらさにつながるのかが具体例を交えて示されました。
また、制度や社会の側に存在する課題についても言及があり、日本における法制度や学校・職場環境の現状、そしてそれらが当事者に与える影響について具体的に説明されました。個人の理解や配慮だけでなく、社会全体としてどのように包摂的な仕組みを構築していくかが重要であることが強調されました。
講演の後半では、私たち一人ひとりが日常の中で実践できる行動についても提案がなされました。たとえば、相手の属性を決めつけないコミュニケーションや、当事者の声に耳を傾ける姿勢、小さな違和感を見過ごさずに問い直すこと、互いに間違いを指摘し合える関係づくりなど、身近な実践の積み重ねが社会の変化につながることが示されました。
本講演会を通じて、性の多様性について「知らないこと」そのものが問題なのではなく、「知らないままにしてしまうこと」が偏見や差別を温存する要因となるという指摘は、多くの参加者にとって重要な気づきとなりました。今後も本学では、多様性と包摂を基盤とした教育・研究環境の実現に向けて、継続的な取り組みを進めてまいります。
