研究機構 総合技術支援センター
ガラス細工技術支援プロジェクト
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[講習内容]
講習は下記の内容を進行度合いに応じて行っていきます。
このページは「映像を見ながら練習する科学系ガラス細工の基礎」からの抜粋です。
映像をご覧になりたい方は上記タイトルをクリックして下さい。
ガラス管の切断 |
▼手折法(ヤスリの使い方) |
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▼焼き玉法 |
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ガラス管の持ち方 |
▼基本 |
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ガラス管の細工(基本) |
▼軸出し |
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▼軟化曲げ |
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▼溶融曲げ |
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▼直管の接合(回転) |
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▼直管の接合(回転なし) |
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▼直管の接合(異径管) |
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▼玉吹き |
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▼ゴム止め |
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▼T字管 |
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ガラス管の細工(応用) |
▼ピペット |
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▼トラップ |
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ご自分の環境でガラス細工を始めてみたい方は
平成26年度科学研究費補助金(奨励研究)において作成した
入門書『ゼロから始めるガラス細工』も合わせてご覧ください。
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解説
▲手折り法
比較的、細いガラス管(直径15mm程度)を切断する場合にこの方法を用いる。
・目立てヤスリをガラス管に対して約45°の角度で押し当て、手前に引きながら5mm程度の長さの傷をつける。
・傷を上に向け傷から1cm程離れたところに両手の親指を宛がうようにしてガラス管を握る。
・両脇を締め、弓の弧をイメージしてガラス管を引っ張りながら、傷を開くように折る。折る力よりも、引く力を強くすると上手く切断できる。
なお、ヤスリはグラインダーにより両端が平らになるように削っておくと角が出て傷を入れやすい。
▲焼玉法
・ガラス管をバーナーを用いて融かし、細く引いておく。
・手折り法と同様のヤスリ傷を付け、細く引いたガラス管の先端をバーナーの炎で赤熱させ(焼玉)、ヤスリ傷の端から1mm程離れた個所に押し当てる。
焼玉の熱によりガラス管が膨張し、傷を開くように力が加わりヒビを入れることができる。
▲ガラス管の持ち方
・ガラス管を左手で上からわしづかみにする。
・小指、薬指、中指の3本の指でガラス管を支え、親指と人差し指の2本の指でガラス管を回転させる。
・右手は親指と人差し指でガラス管を下側から摘むように支える。このとき、曲げた中指の爪の上にガラス管を乗せるようにする。
バーナーによるガラス細工では、基本的に左手でガラス管を取り扱い、右手で細かい作業や道具を使って加工する。
▲軸出し
・「ガラス管の持ち方」で説明したようにガラス管を持ち、炎の中でガラス管を回転させる。
・ガラス管が融けたら炎から出して、回転させながら引き伸ばす。このときに、速く引くほどガラス管は細くなる。また、長く引くためには大きな炎で広い範囲を融かすようにする。
・回転にむらがあると、ガラス管を均一に融かすことができないため、軸がぶれてしまう。軸が上手く出なかったときは、軸の根元を炎で軟化させて修正する。
細工する際の持ち手を作るための大切な基本操作なので、練習して習得する必要がある。
▲ガラス管(直管)の接合
・一端を封じたガラス管を左手に持ち、接合するための管を右手に持つ。
・ガラス管の接合する部分を斜め上から炎の中に入れ、回転させながら融かす。真横から炎に入れると、炎が接合部分だけでなく広い範囲に当たってしまう。
・ガラス管が融けたら炎から出し、融けた部分を左右から押し当てて仮に接合する(このときは完全に溶融して接合されていない)。このとき接合した部分の肉が厚くなるので、すぐにかるく引いて溜まった肉を散らしてやる。
・炎を細くして、接合部分を回転させながら炎の中で融かす。融けて肉が溜まってきたら炎から出し、ガラス管の端から元の管よりも少し太めになるように吹きを入れ、冷えて固化する前に元の管と同じ径、同じ肉厚になるように引いて形を整える。
・一回できれいに接合できない場合は、融かして吹く操作を繰り返す。
・完全に接合することができたら、大きな炎の中で接合した部分の歪を簡易的に除去する。強い炎で加熱しすぎるとガラスが軟化してしまうので、弱めの炎で接合部全体を軟化しない程度に加熱する。
▲ガラス管(直管)の接合(回転できない場合)
・回転させられないものや、細工に不慣れのためガラス管を上手く回せない場合には、部分ごとに加熱して加工する。
この方法では加工時間が長くなり、仕上がりもあまりきれいにならない。回転できるものはできるだけ回転しながら細工するように練習したい。
▲ガラス管(直管)の接合(異径管)
・径の異なる管を接合するには接合部分の径を合わせた後ガラス管(直管)の接合と同様の操作を行う。
▲ガラス管を曲げる
・ガラス管の一端を封じておき、回転させながら曲げる部分を炎の中で融かす。融かすときに、両側から少し押すようにすると肉をためることができる。
・ガラスが融けて肉が溜まったら炎から出して、元の管径よりも少し細くなるように引きながら曲げ、吹きを入れて元の管径にする。
曲げる角度や曲げの半径、ガラス管の太さに合わせて炎の大きさを調節する。
▲ガラス管を曲げる(軟化曲げ)
・接合と同様に回転させられないものを曲げるときは、弱く大きな炎の中でガラスを軟化させて少しずつ曲げる。
この方法の場合、曲げの半径が小さいと管の内側がつぶれて扁平になってしまう。もしも、つぶれてしまったときは、つぶれた部分を炎にあてて融かし、吹き出して形を整える。
▲玉吹き
・両側に軸を出したガラス管の一端を封じておく。
・吹きたい玉の大きさに合わせて炎の大きさを調節する。
・炎の中にガラス管を入れ左右から軽く押しながら回転させ、ガラスの肉を寄せて溜める。肉が溜まったら炎から出し、回転をさせながら吹きを入れて玉を吹く。
一回で大きな玉を吹こうとせず、小さな玉を吹いて徐々に大きくしていくと、きれいな玉が吹ける。また、二つ、三つと玉を合わせると、さらに大きな玉を作ることができる。
▲ゴム止めの製作
・ガラス管の一端を引き伸ばし軸を出しておく。
・左手でガラス管を回転させ、持ち手から3cm程度のところを細い炎で融かす。ガラス管が軟化したら炎から出して左右に軽く引き窪みを作る。
ガラス管の一方の肩の部分(元の管径から細くなる部分)を炎の中で軟化させ、左右から押してゴム止めの凸を作る。
・もう一方の肩も同様に凸にする。炎を少し太くし、凸と持ち手の間を持ち手を下にして斜めに(温度勾配をつけるため)炎に入れ、回転させながら軟化させる。軟化したら炎から出して左右に引き、テーパーをつける。
・細くなった部分から持ち手を切り落とし、切り口を炎の中でなます。
▲T字管の製作(枝管の接合)
・ガラス管の一端を封じておき、枝管を接合したい部分を細い炎で加熱する。ガラスが融けたら吹きを入れ、融けた部分を膨らます。
・膨らんだ部分の頂点をもう一度加熱し、枝管の直径に合わせてガラスを融かす。ガラスが融けたら炎から出して吹き破る。
吹き破るときは、穴の大きさが枝管の径よりも大きくならないように注意する。大きくなってしまったときは、枝管の切り口を融かしてグラファイトや鉄の箸などで広げなければならない。
・枝管の一端または吹き破ったガラス管の両端を封じ、吹きを入れられるようにする。
・少し大きな炎の中で吹き破った部分と枝管の接合する部分を融かし、直管の接合のときと同様の操作で仮に接合する。
▲駒込ピペットの製作
・両側に軸を出したガラス管の一端を封じておく。
・ゴム止めの製作と同様の操作で一端にゴム止めを作製する。このとき持ち手は切り落とさない。
・ゴム止めの下に玉吹きと同様の操作で玉を吹く。
・ゴム止めの反対側を引き延ばす。このときなだらかなテーバーを付けるには一度玉を吹いた後、引き延ばすと良い。
・両端をを切り落とし、切り口を炎の中でなます。
▲トラップの製作(外封じ込み)
・トラップ外管用ガラス管の両端を引き、軸を出しておく。
・一方の持ち手の根元に炎を当て、持ち手を取り去り、大きな炎で整形して試験管の底のようにする。
細い炎を用いて、底の中心を内管の径よりも少し大きめに吹き破る。
・吹き破った穴はガラスのバリを落とし、炎を当ててなましておく。吹きを入れた持ち手の端を封じる。
・内管用のガラス管を炎の中で回転させ、軟化したら左右から押して、そろばん玉のような圧縮輪を作る。この圧縮輪の大きさは外管に空けた穴よりも少し大きくしておく。
・内管を外管に空けた穴に差込み、内管の圧縮輪を外管の穴に密着させながら回転させ細い炎で熔着させる。接合部の形が歪んだら、吹きを入れて形を整える。この部分は歪みが残ると後からヒビが入りやすいので、除歪をきちんと行う。
・T字管に穴を開ける要領で外管に枝管を付けるための穴を開ける(吹き破る)。T字管の製作と同様の方法により、外管に枝管を接合する。
・枝管の端を封じてから持ち手を取り去り、底を作って完成する。
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