○学生の自主的活動支援事業

◇Formula Project SU-spirited

はじめに,昨年に引き続き私たちの活動の趣旨にご賛同いただき,ご支援してくださった学生後援会関係者の皆様に心より御礼申し上げます.

私たちFormula Project SU-spiritedは毎年9月に静岡県で行われる公益社団法人自動車技術会が主催して行われる「全日本学生フォーミュラ大会」へ参加するために日々マシン製作活動に励んでいる団体です.2016年から活動を本格的にスタートさせ,チーム構築,スポンサー募集,マシン設計・製作を行い,2017年度大会に参加して参加初年度初完走を目指しました.大会では学生が設計,製作したマシンの性能やマシン完成までのプロセスが結果に反映されるような採点基準となっており,将来の技術者育成が期待されています.

2017年度大会は国内外合わせて98の大学がエントリーし,それ以前からも埼玉大学周辺の国公立大学や私立大学も数多く参加していました.埼玉大学のチームとして今年度初めてこの大会に参加し,周辺のチームや企業様・団体様の協力を受けながら車両製作に取り組んでいきました.初めての試みということもあり,想定外の問題も多発し,当初の計画よりも大幅な遅れが生じてしまいましたが,大会直前の8月16日にマシンの初走行を果たすことができました.その後の関東圏の大学で行われた試走会にも参加することができ,マシンの最終調整と大会に向けた対策を行うことができました.

そして2017年9月5日~9日に静岡県のエコパスタジアムで行われた「第15回全日本学生フォーミュラ大会」に初参戦を達成しました.大会で実際にマシンを走行させて性能を競う「動的審査」に進出するには,レギュレーション準拠や安全性を見られる「車検」に通過しなければならず,近年新規チーム初参戦での通過は極めて稀であるという状況の中,私たちは無事に通過し,数年ぶりの初出場での動的審査進出を果たすことができました.タイムによる足きりで初年度完走という目標は達成できませんでしたが,海外勢も含めて内燃機関部門で初参戦チーム中トップの成績を修めることができ,「ルーキー賞」を獲得できました.

大会でのルーキー賞獲得の成果を埼玉大学にも認めていただくことができ,学生表彰(団体表彰)をいただくこともできました.また,埼玉新聞様やジェイコム埼玉様に取材していただくことができたほかにも,昨年度は50以上の企業,団体の皆様のご支援をいただくことができ,埼玉大学と地域の皆様との交流にも微力ながら貢献できたと考えております. 皆様からご支援いただけたことで,埼玉大学での教育で得た知識を積極的に活用し、深い技術の理解、実践的な能力の向上につなげることができました.これからも皆様はじめ,私たちの活動を支えてくださっているすべての方々に感謝して活動に励んで参ります.

埼玉大学学生フォーミュラFPSU

プロジェクトリーダー 小林祐太

◇一人乗り電動カート

私たち埼大ロボット研究会ではロボットの制作や電子回路の制作、また半年に2回ほど子どもたちのためのロボットのワークショップを行っております。埼玉大学、埼大ロボット研究会の知名度の向上、当研究会の技術力の向上のため、このプロジェクトを立ち上げました。むつめ祭で電動カートの試乗体験会を実施することが最終目標でした。

2017年9月、台車の設計を決め、月末には台車の大枠が完成し、転がせられるようになりました。10月、モーターを動かすためのインバーター回路を制作し始めました。回路が大きいため、完成には3週間を要しました。11月、回路への通電を行い、うまく動作することを確認しました。その後、屋外で試走を行い、良好な動作を確認しました。11月24~26日にかけて行われたむつめ祭では、親子連れの方が多く来てくださいました。子供に限らず大人も試乗され、多くの良い感想をいただきました。2018年2月、人やモノが前から近づいた場合に自動ブレーキをかける機能を搭載しようと考え、Kinectで距離検出を行いました。しかし、コンピューターの性能が悪く、電動カートへの組み込みは難しいと判断し、搭載は見送りました。

電動カートは「走行音を楽しむ」という新しい着眼点を第一にプロジェクトを進めてきました。発進時に音階を奏でる電車があり、それを模した走行音を楽しめる電動カートを製作しました。むつめ祭では埼大ロボット研究会の教室の一角で電動カートの展示を行いました。来ていただいた方はまず電動カートについて聞いていました。試乗は教室内を数周するという短いものでしたが、試乗された方からは良い感想を多数いただきました。そういったことから埼大ロボット研究会の知名度を上げるという目標は達成されたのではないかと考えています。しかし、当研究会の知名度を上げられる余地は残っていると感じており、今後も広報を継続していく所存です。大型の制作物は印象に残りやすく目立つため、継続した広報が可能であると考えています。

今回、電動カートの制作にあたりラジオペンチの新調やノコギリ、直尺、圧着工具などの工具を新しく導入しました。また、歯車やベアリングなどのロボット制作でも必要な機械部品の使い方を学ぶことができました。これにより電動カートだけでなく今後の埼大ロボット研究会の活動全体の技術の向上ができると確信しています。

埼玉大学後援会様よりいただいたご支援がなければこのプロジェクトを実現できませんでした。多大なるご支援に感謝申し上げます。

埼玉大学ロボット研究会

上田 雄一朗

◇地域と学生、学生とOB・OG、学生と学生を繋ぐITC 製作プロジェクト

○本プロジェクトは以下の3つを目的としました。

1つ目の目的は、埼玉大学発のバス運行情報の提供です。埼玉大学から南与野駅に行くには、北浦和駅行きのバスに乗り南与野駅北口で降りるルートと南与野駅西口で降りるルートがあります。前者は常に時間通りに運行しますが歩く距離は長く、後者は埼玉大学始発でないため交通事情等により遅延が発生することがありますが、歩く距離は短いです。この2つのルートについて運行・遅延情報を提供することで、どちらのバスに乗るとより早く帰宅できるかを迅速かつ容易に判断できます。

2つ目の目的は、分散型SNSであるMastodonを用いて 埼玉大学の学生独自のSNS “Saidon”を設立することで、埼玉大学の全学生ひいてはOB・OG間の交流活性化を期待する、というものです。以降1年間の運用を通じて、埼玉大学生間の交流のあり方を模索しつつ得られた知見を大学側と共有することで、従来とは異なる学生間のネットワークの醸成と発展とを期待できます。

3つ目の目的は、主に講義の情報をGoogleカレンダーに連携させることで、学生のスケジュール管理を補助することです。これにより学生間で予定を立てて出かけ、遊びやサークル活動を行うことが容易になり、学生間・地域間の交流の発展が期待できます。ほかにも、Googleカレンダーを大学内で普及させることで、教員は自らの予定と講義・ゼミの予定を同時に管理し、試験などの通知にGoogleカレンダーの予定送信機能を利用することができるようになります。また、学生はそれら通知を遅滞なく確認し、ワンクリックで予定を登録できます。

○成果

①バス会社様が提供されている2つのバスロケーションシステムのWebサイトから運行時間中1分毎に情報を取得して、必要に応じて遅延時間を計算した上で時刻表に記載された発着時刻順に並び替えるプログラムと、その結果を液晶ディスプレイにGUIで表示する方法を完成させました。前者はPythonを利用し、後者はHTML5, CSS3, JavaScriptを利用します。しかし、電光掲示板の設置は電源と通信の確保とその利用料金の負担、安全確保と責任の所在等の問題が懸念されたため、かわりにIBM CloudとFlaskを利用してLINE botの製作に取り掛かり、完成させました。問題が生じた際には手元で運用停止・プログラムの変更を行うことも可能です。現在、Webサイトのデータ利用に関して相談を行っており、許可が得られ次第βテストを実施、公開したいと考えております。

②年間契約でレンタルサーバを借り、Mastodonインスタンスを立てました。以降、特に新入生が入ってくる4月から、新年度のコミュニティが形成されてある程度固まる5月の半ばの間に、何らかの形で埼大生専用のSNSであるSaidonの名前を広げていきたいと考えております。

③学業の都合上、十分な制作時間が取れなかったため今期は完成させることができませんでした。しかし、Mastodonのインスタンスを立てる際に契約したサーバの一部を用いて、今後とも作成を継続する予定です。

ITC制作プロジェクト

代表 植木 俊宏

◇埼玉大学イルミネーションプロジェクト

埼玉大学イルミネーションプロジェクト実行委員会は、前身団体「さいだい通りDEおーきなわっ!」と教育学部技術教育講座浅田研究室、埼玉大学学生委員会(GI)の3団体が協力し合い、2004年に結成されました。「地域と大学を結ぶ笑顔のかけ橋」となることをモットーとし、桜区役所や埼大通り商店会、大学関係者のご協力のもと、埼玉大学生と地域住民の方々との交流を目的とした団体です。

主な活動内容としては、12月に大学構内をイルミネーションで装飾し点灯させるほか、10・11月に子どもたちを対象とした工作のワークショップ(工作教室)の実施、地域のお祭りへの出展・参加、埼大通り商店会主催による埼大通り清掃事業への協力、地元施設のイルミネーション装飾など多岐にわたります。

埼玉大学学生後援会様からは、主にイルミネーション装飾の材料費の面でご支援をいただいております。ライトや延長コードは屋外で使用すると雨風などで劣化しやすくなるため毎年買い足さなくてはなりません。また、装飾する範囲を広げるとその分多くのライトを必要とします。私たちのイルミネーション事業を今後も続けていくうえで、学生後援会様からのご支援は欠かせないものとなっています。

今年は地元新聞や広報誌、テレビなど多くのメディアで当委員会の活動が紹介されました。点灯期間中は多くの地域住民の方々が大学を訪れ、なかにはさいたま市外からわざわざイルミネーションを見に来られた方もいらっしゃいました。これからも皆さまへの感謝を忘れず、地域間の交流をより一層深められるよう、さまざまな活動に積極的に取り組んでまいります。

埼玉大学イルミネーションプロジェクト実行委員会

実行委員長 伊藤 三四郎

◇埼玉子どもを守る連絡協議会

年間を通して、春の「若草つみハイキング」、秋の「埼玉子どもまつり」の2つの行事を中心に活動しました。それぞれの行事の企画・運営を行うにあたって、OB・OGである社会人の方や他団体の方と話し合いをする運営委員会と実行委員会を開きました。

「若草つみハイキング」では緑あふれる秋ヶ瀬公園で子どもたちにオリエンテーリングをしてもらいました。今年度は「忍びの姫を救い出せ!!」というストーリーのもと、大型パズルや草花クイズ、鬼ごっこや的あてに挑戦する遊びのコーナーを設けました。植物をつかった工作や草花クイズに挑戦するコーナーを設けることで、子どもたちが楽しみながら自然と触れ合う機会を提供できました。また、仲間と共に体を動かして遊ぶことの楽しさを伝えることもできました。準備期間には、行事に必要な物品を用意したり、世界観をより深めるための小道具や登場人物の衣装を作成したりしました。

「埼玉子どもまつり」では別所沼公園に昔あそびや絵手紙、折り紙などを体験できるコーナーや、大型紙芝居の読み聞かせや人形劇を鑑賞できるコーナーを設けて、子どもたちに自由に回ってもらいました。昔あそびなどの伝承文化や人形劇や落語などの鑑賞文化といった普段体験することの少ない遊びや文化にふれる機会を子どもたちに提供することができました。また、異学年や異世代の人同士の交流にもつなげることができました。準備期間には、協力していただく地域団体の方々と話し合いをしたり、会場設置物や衣装の作成を行ったりしました。

埼玉子どもを守る連絡協議会

代表 安藤 咲乃

◇埼玉大学児童文化研究会

活動は3つに分かれています。1つめとして、地域(大宮、北浦和、浦和)の子どもと毎週土曜に遊ぶ地域グループです。3ヵ月に1回ほどの頻度で行事(宿泊キャンプ、クリスマス会など)を行っています。行事では子どもに係を任せたり、実行委員を選出したりして、責任感や達成感を持つことができるようにしています。2つめとして、大型絵本の作成をし、読み聞かせをする文学グループです。月に1回子ども会の活動があり、学生が考えた遊びや企画を行い、読み聞かせをしています。3つめとして、人形劇を行う財グループです。児童館、公民館、保育園、高層団地など依頼を受け、講演を行っています。脚本やセット、人形まですべて学生が考え、自分たちの手で作り上げています。

3グループとも「子どもに楽しんでもらうこと」を一番の目標に掲げ、様々な工夫を考え会議を重ねてきました。また、4年間を通して学生は同じグループでずっと活動を行っています。ですので、毎回同じ学生に会えることで子どもの安心感であったり、居場所作りにつながったと思います。実際、子ども達からもたくさんの笑顔が活動中に見られました。自分の入っている子ども会でそれぞれの子ども達がみんなで活動する事で一体感も生まれていたと思います。活動を通して、子ども達は日々成長していると感じます。上学年の子どもが下学年の子どもに対して思いやりのある行動を取っていたり、他学年同士の交流が多く見られたりしています。それぞれの子ども会で行われる行事などでは、子ども達と学生が協力し、行事を作り上げており、たくさんの笑顔が見られました。

埼玉大学児童文化研究会

代表 中道はるな

◇藍染プロジェクト

埼玉大学有機農業研究会は、先進的な有機農家の方々のご指導の下、大学内外にある畑や田んぼで有機農業を実践し、収穫した作物の調理加工を行ったり、紙芝居、語り、踊り等の交流手段を駆使して地域の方々と交流しています。

私達は、埼玉県が明治九年(1876年)には藍の生産量が徳島県に次ぐ位置にあり、藍染が盛んな地域でもあったことから、藍染をテーマとする「藍染プロジェクト」を企画し、埼玉大学学生後援会の学生の自主的活動プロジェクトに応募しました。幸いにも、その支援を受けることでき、藍染めに必要な材料や藍の栽培に必要な農具・資材を購入することができ、藍の栽培から藍染めに至るまでの過程の作業に取り組むことができました。そして藍染めの実施においては、私達は、草木染めの熟練者のご指導を受けながら、各自思い思いのデザインによる藍染のハンカチをつくり、昨年12月に、埼玉大学生協において展示・販売しました。


  • 各自のデザインによる藍染

  • 昨年12月の埼大生協での展示・販売

また、このプロジェクトの成果については、私達は、今年3月28日に、学務部長を初めとする埼玉大学関係者の方々のご出席を得て、藍染の歴史に詳しい方々、大学近辺の農家の方々等に集まっていただき、大学会館2階のラーニングコモンズにおいて、報告会を開きました。私達は、この報告会で、藍の栽培や藍染の取組の報告を行っただけでなく、福井貞子著『木綿口伝』第2版(農山漁村文化協会、2000年)に基づいて制作した語り「祈りの機織り」も実演しました。かつて、紡織機が登場するまでは、機織りは女性の仕事であり、この語りは、そんな機織りの女性の苦労や誠実さを偲んで制作し、機織りの女性が話す箇所についてはその地域の言葉で語り、臨場感のあるものとなるようにしました。今回の藍染プロジェクトで、藍の栽培から藍染のハンカチの制作に至る過程を総合的に取り組み、また、語りの作成・実演を通じて、布に織り込まれた女性の心情にも思いを馳せることができたことは、私達にとって心に残る貴重な体験となりました。

昨年に引き続き私たちの活動の趣旨にご賛同いただき,ご支援してくださった学生後援会関係者の皆様に心より御礼申し上げます.私達は、今後も藍のような地域で栽培されてきた特徴ある農作物に着目し、地域の自然や暮らしを大切にし、地域の伝統文化への理解を深める取り組みを続けていきたいと考えてます。


  • 今年3月28日の報告会

  • 報告会での語りの実演