埼玉大学

ダイバーシティ推進センターCenter for Gender, Diversity and Inclusion

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グループリーダー:前山光明(大学院 理工学研究科)

本WG女性研究者支援WGでは、『埼玉大学ダイバーシティー研究環境実現のための取組』のII 女性教員採用・昇任促進、IVダイバーシティー研究環境実現 さらに長期的な視野にたったIII 次世代育成 に対して、課題発掘、解決策提案などを行うことを目的とし、検討した内容の概要を記することで本年の活動報告とさせて頂く。

 2022年9月に「JSTダイバーシティー研究環境実現イニシアティブ(特色型)(2017-2022)訪問調査」があり、その報告書の中で特に女性教員比率の低い理工学研究科に関して

  • 平成29年度から令和4年度までで、8名の女性教員を採用したことは評価できるが、事業実施期間の後半で採用率が下がっている
  • 上位職(准教授)の女性比率が平成28年度(前半)から令和3年(後半)にかけて9.1% か ら5.8%下がっている

と指摘された。教員公募の際の応募者数に締める女性研究者が少なく、女性限定公募を実施する場合もあるが、本大学に限らず国内各理工系学会においても全般的に女性研究者比率が低いため、それぞれの学会でもダイバーシティー推進の課題等の調査報告と取組が行われている。応用物理学会の2021年シンポジウムの開催報告書[1]によると、理工系を選択する女子学生が少ない理由として、・”男子は数学が得意”という親の言葉の刷り込み、・女性が所属意識を持ちにくい男性的文化、・幼少期のコンピュータ・サイエンスや工学・物理学に関わりのある体験の欠如、・進路「選択」に大きな影響を与えるロールモデルとして中学校・高校の「理科」の教員と大学での教職課程の構造的な問題 などが挙げられている。一部、認識を新たにする指摘もあるが、確かに親世代、進路指導担当者、受験産業の関係者の中では概ねこのように考えている方がまだまだ多いのではと考えられる。最近では、「リケジョ」や「ドボジョ」という用語を用いることでその印象も変えられつつあるが、この問題に対しては、体験入学、出前講義、研究室訪問、校長先生や進路指導の先生方との情報交換などWISE-P[2]で行われている活動を長期的な対策として地道に行っていくことが必要である。

 一方で、短期的な、あるいは現状の課題の改善策として「女性、広い意味での若手研究者支援の対策」を捉えることができる。JST報告の指摘にもあるように、少ない女性研究者、応募者の中でさらに女性教員比率を上げる方法として、採用後の女性・若手研究者が研究に勤しめる環境の提供と、阻害要因の除去、改善を行うということである。若手の教員では、演習や実験科目など対面を主とする科目を担当する機会が多く、祝日が講義日に当たっているいる場合、一時保育などさまざまな支援事業制度も整えられてきているが、就学前と就学後での対応が異なるなど、うまく利用できないことも考えられる。また、女性研究者に限らないことだが、通勤できない事情や時間制約がある場合の仕事の継続が挙げられる。コロナ禍で進んだ、教育・研究活動、委員会などその他もろもろの大学業務でのオンライン化が進められたが、今後も引き続きリモート勤務やそのためのツールが利用できたり、学内ネットワークの制限や会計処理にかかる紙書類の不便さ等の改善がなされて、一定期間通勤しなくても仕事ができる体制が整っていれば、女性研究者のみならず、育児中、介護中、通院中など、さまざまな立場の教職員にとって、仕事とそれ以外の生活を両立しやすい環境の実現が可能となる。さらなる改善に向けた提案ができればと思い ます。

参考

  1. 応用物理学会の2021年シンポジウムの開催報告書
    https://www.jsap.or.jp/docs/gender-equality/2021s_symposium_report.pdf
  2. 埼玉大学 WISE-P Webページ
    https://park.saitama-u.ac.jp/~wise-p/