職場環境づくりWGの活動は十分に行えていないが、今年度の報告として、従前より継続して調査している学部別委員会男女比調査と埼玉大学におけるこれまでの研究とライフイベントとの両立支援の取組のとりまとめ結果を記す。
① 各学部委員会男女比調査報告
2019年度から実施している各学部委員会男女比調査を行い、WGで共有するとともにダイバーシティ推進室に提出した(表1)。学部によって女性比率や推移の状況が異なっているが、委員会名簿に含まれる内容が学部により異なること、学部においても年により委員会の状況が変化することなどから、次年度以降は各学部の基本委員会等共通的な委員会を捕捉することとした。
表1 委員会女性比率(2022年度)
教員数 | 学部委員会 | 博士前期課程委員会 | 博士後期課程委員会(教育学部:特別+常設委員会) | 全学委員会 | ||||||
女性 人数 |
女性率 | 女性 人数 |
女性率 | 女性 人数 |
女性率 | 女性 人数 |
女性率 | 女性 人数 |
女性率 | |
教育学部 | 31 | 33.3% | 14 | 35.0% | 6 | 28.6% | 38 | 33.63% | 13 | 28.3% |
教養学部 | 15 | 30.0% | 4 | 3.4% | 7 | 14.9% | 1 | 7.14% | 7 | 15.6% |
経済学部 | 13 | 28.3% | 14 | 32.6% | 1 | 14.3% | 1 | 14.29% | 10 | 27.0% |
理工研究科 | 17 | 6.4% | 2 | 2.4% | 1 | 1.9% | 1 | 2.78% | 10 | 13.2% |
②これまでの両立支援の取組
11月18日開催の彩の国女性研究者ネットワークシンポジウム「地域協働による研究者・技術者の育成とダイバーシティ研究環境の持続にむけて」の第2部「ライフイベントと研究の両立支援」において、2017年に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ女性研究者研究活動支援事業(特色型)に採択(取組の1つが研究とライフイベントの両立支援)以降の本学の状況を報告した。
2020年に実施された本学の第3回男女共同参画推進に関する意識・実態調査の教員・研究員回答によると、育児対象の子どもがいる場合に女性では96%、男性では60%、介護の必要な家族等がいる場合には女性では64%、男性では61%が育児、介護を担当している。負担感について、特に育児を担当している女性では、38%が負担をかなり感じており、少し感じている者を含めると9割以上が負担感を感じている。なお、この10年間の産休取得者は13人、育児休業取得者は女性12人、男性2人、介護休業取得者0人である。このような状況での、両立支援制度の2016年度以降の利用状況は表2に示す通りである。育児等を直接支援する制度より研究遂行を支援する制度の方が利用されている。このほか、相談窓口では一般的な両立支援だけでなく、海外での研究時の子育て相談を含む 国際共同研究スタート相談を行っている。
表2 両立支援制度の利用状況
2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |||
研究補助制度 | 2016~ | 8(2) | 13(9) | 13(7) | 20(15) | 11(8) | 16(11) | 13(9) | |
非常勤支援研究員制度 | 2018~2019 | ✕ | ✕ | 1 | 3 | ✕ | ✕ | ✕ | ※対象:女性教員 |
リスタート研究費助成制度 | 2017~2019 | ✕ | 0 | 2 | 0 | ✕ | ✕ | ✕ | ※対象:女性教員 |
ベビーシッター派遣事業 | 2013~ | 1(1) | 1(1) | 1(1) | 3(2) | 1(0) | 2(0) | 0(0) | |
ファミサポ補助事業 | 2017~ | 2(1) | 3(1) | 2(1) | 0(0) | 0(0) | 1(0) | ||
病児保育利用補助事業 | 2019~ | ✕ | ✕ | ✕ | 0(0) | 0(0) | 1(0) | 0(0) | |
学童保育利用補助事業 | 2019のみ | ✕ | ✕ | ✕ | 0 | ✕ | ✕ | ✕ | ※対象:女性教員 |
()の値:男性教員の数を内数で表示 |
2018年に行った子育て・介護との両立のための支援ニーズの調査で把握したニーズも汲みつつ、限られた資源の中で研究活動の支援を行ってきた。JSTの予算措置が時限的であったこともあり、いくつかの制度は現在休止中であるが、制度拡充に向け、子育て・介護支援の追加予算の制度が期待される。