葉緑体の断面の模式図は、たいてい楕円形です。ここから、葉緑体の立体像としてラグビーボールのような形を連想する人も多いのではないでしょうか。
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シアノバクテリアも、私たちの生活に深くかかわっているといえます。20数億年前、光合成の副産物として発生した酸素が大気中に蓄積しました。これによって、地球上で呼吸ができるようになりました。また、蓄積した酸素からオゾン層が形成されました。オゾン層は、生き物にとって有害な紫外線を遮ってくれます。
これは、ローズマリーと呼ばれるハーブの葉の断面です。ローズマリーの葉は、両端が内側に丸まっています(上段左)。丸まっている内側の表面には毛が生えていて、その中に匂いの成分を含む腺毛があります。葉の葉肉組織には、2種類の形の細胞があります。上側表皮のすぐ下に並んでいる棒状の細胞は、柵状組織細胞と呼ばれています。その下にはテトラポッドのような形をした細胞、海綿状組織細胞があります。どちらの細胞にも、緑色の粒状の葉緑体があります。そこで、盛んに光合成が行われます。
電子顕微鏡の写真を見てみましょう(下段)。細胞の表面にびっしりと敷き詰められた石のような構造が葉緑体です。太陽光を利用して空気中の二酸化炭素を取り込むため、このように細胞の表面に配置されています。細胞の内部は液胞で満たされています。そして、葉緑体は細胞表面から見ると丸い形をしています。実は、葉緑体は凸レンズのような形をしているのです。
たくさんのシアノバクテリアが集まって、1番左の写真のように見えます。
棒のような形をしているのがシアノバクテリアです。青緑色の色素をもっています。
蛍光顕微鏡の写真を見てみましょう(上段右)。青白い蛍光を発しているのがDNA、黄色の蛍光を発しているのがポリリン酸体です。
電子顕微鏡の写真を見てみましょう(下段右)。光エネルギーを受けとるチラコイド膜(T)、そこで変換されたエネルギーを利用して二酸化炭素を取り込む酵素(ルビスコ)の集合体であるカルボキシソーム(C)、ポリリン酸を蓄積している黒い大きな球状の構造(P)が見られます。
どうして葉は緑色なのか、と感じたことはありませんか?
緑色の正体は…『葉緑体』と呼ばれる細胞内の構造です。
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葉緑体を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で見ていきましょう!
葉緑体は『光合成』という反応が行われる場でもあります。
光合成というのは、太陽の光エネルギーを他の生物が利用できる形に変換する反応です。動物が利用できるエネルギー源である糖を作り、副産物として呼吸に必要な酸素を作り出します。
このように、私たちと深くかかわりのある葉緑体。ここでは、葉緑体のミクロの世界に入っていきましょう!!
私たちの生活に深くかかわっている葉緑体。始めから今の姿だったわけではありません。独立したシアノバクテリア(藍藻)のような生物が、他の細胞に取り込まれて細胞内共生体となり、長い年月を経て葉緑体になったと考えられています(リン・マーグリスの共生起源説)。
それでは、現存するシアノバクテリアのミクロの世界に入っていきましょう!!
シアノバクテリアは、核膜に囲まれた核をもたない原核生物です。長い環状のDNAは細胞内に収納され、必要なときに利用され、さらに正確に複製・分配されているはずです。しかし、その仕組みはまだはっきりと分かっていません。
シアノバクテリアを光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、電子顕微鏡で見ていきましょう!!
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