研究内容

テーマ2:飽和炭化水素の脱水素反応に用いる高活性脱水素触媒の開発


近年、シェールガスと呼ばれる安価な天然ガスの採掘が可能になり、発電用などの燃料として注目されています。
一方でシェールガスに含まれるエタンやプロパンといった飽和炭化水素は、これまで化学原料としてあまり利用されていませんでしたが、安価で安定に供給が可能になったことから、当研究室ではこれら飽和炭化水素を原料としてエチレン、プロピレン、ブテンといったオレフィン類を効率よく製造するための、脱水素触媒の研究を進めています。

二段階脱水素反応を用いた新規ブタジエン製造プロセス及び脱水素触媒の研究

1,3-ブタジエンは合成ゴムや合成樹脂の原料として利用されており、自動車部品をはじめとした化学製品の原料として必要不可欠な物質です。従来、1,3-ブタジエンは、ナフサクラッキングによるエチレン製造時の副生C4留分を原料として製造されていました。
しかし、近年、シェールガス由来の安価なエチレンが生産されるようになったことから、ナフサ由来のエチレン生産は縮小し、1,3-ブタジエン供給量が低下すると予測されています。
そこで、本研究室では、供給不足が予想される1,3-ブタジエンの新たな製造プロセスとして、n-ブタンを出発物質とした脱水素反応に注目し、工業化に向けて、安定性と選択性に優れる高機能脱水素触媒の開発を行っています。

Recent Study

Applied Catalysis, A: General(2012), 417-418, 306-312.
“Effect of iron oxide on isobutane dehydrogenation over Pt/Fe2O3-Al2O3 catalyst”
By Kobayashi, Shingo; Kaneko, Shinji; Ohshima, Masa-aki; Kurokawa, Hideki; Miura, Hiroshi

本論文では、イソブタン脱水素反応における新規触媒システムの開発を報告しました。担持Al2O3 -Pt触媒に少量のFe2O3を添加した触媒を調整し、Fe2O3が触媒活性、安定性、イソブテン選択性に与える影響を調査しました。また脱水素反応における触媒活性の更なる向上を目指し、Pt/Fe2O3 -Al2O3触媒に第三金属としてSnを更に添加した触媒を調整し、触媒特性を調査しました。
Applied Catalysis, A: General(2012), 427-428, 85-91.
“Pt dispersion control in Pt/SiO2 by calcination temperature using chloroplatinic acid as catalyst precursor”
By Kaneko, Shinji; Izuka, Miyuki; Takahashi, Asako; Ohshima, Masaaki; Kurokawa, Hideki; Miura, Hiroshi

本論文では、担持Pt/SiO2触媒において触媒調製条件がPtの分散性に与える影響について報告しました。担持触媒前駆体を水素フロー中で直接還元する方法と、前駆体を焼成後に還元する方法で触媒をそれぞれ調整し、Ptの分散性に還元/焼成温度が与える影響を調査しました。  

 

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