Last Modified : 2024年7月21日 (日) 11:48 am
現在進めている具体的な研究内容
実験研究 | ナノワイヤー熱電変換素子の作製 |
集束イオンビームによるナノ加工 | |
ナノワイヤー熱電変換素子の結晶方向制御 | |
ナノ材料にも適用可能な熱電気物性測定システムの開発(国際) | |
量子振動測定によるナノワイヤー材料のフェルミ面実験研究(国際) | |
材料中のキャリア散乱機構の解明(国際) | |
理論・シュミレーション研究 | ボルツマン方程式による3次元電気・熱輸送現象の理論研究 |
有効質量方程式による1次元量子熱電気物性の理論研究 | |
熱電変換による液化天然ガスならびに液体水素冷熱回収システムの検討 | |
アウトリーチ | ビスマスの骸晶結晶の作製 |
Mindstormを使ったロボット制作 |
ナノワイヤー熱電変換素子の結晶方向制御
ビスマス材料は融点が271℃と低いことも1つの特徴です。このため、210〜240℃程度の温度を利用することで、結晶方向を任意の方向に制御することが可能です。ナノワイヤー自体はアモルファス形状である石英ガラスに覆われていることから、強輝度X線を入射し、その散乱X線を解析することで、ワイヤーの長さ方向・直径方向の結晶方向を決定できます。量子振動測定によるナノワイヤー材料のフェルミ面実験研究(国際)
作製したナノワイヤー熱電変換素子の量子効果導入を決定するには、巨大ゼーベック効果を実証することも1つの手法なのですが、強磁場中の量子振動(シュブニコフ・ド・ハース振動)によるフェルミ面構造の決定が最も強力で説得力のある方法となります。埼玉大学にはナノワイヤー熱電変換素子に適した20テスラ程度の強磁場発生装置がありませんが、国内外の研究機関との共同研究によって研究を進めています。材料中のキャリア散乱機構の解明(国際)
ナノワイヤー材料のみならず一般的なミリスケールの材料などでも、その結晶性や有効質量の大きさによって、電子やホールといった材料中のキャリアは、格子もしくは不純物(結晶粒界などの境界)と散乱することで、電気抵抗がうまれます。一般的な輸送係数は散乱機構によって、温度依存性も含めて特性が大きく異なります。本研究では、対象となる材料の全ての物性値を同時測定することによって、キャリア散乱機構の温度依存性も含めた特性を評価していきます。ボルツマン方程式による3次元電気・熱輸送現象の理論研究
物性物理や半導体工学を基本として、熱電変換現象を取り扱う材料のゼーベック係数,抵抗率,ホール係数,ネルンスト係数など、一般化されたオームの法則に登場する物性値の理論計算を進めています。Bi材料は室温領域でも移動度が高く(>1m2/Vs)、結晶方向の異方性も高いことから、低温領域での輸送現象に大きな違いが観察されています。ミリメートルサイズの材料では大きな違いは出ませんが、結晶粒界など特徴的な長さが数μm程度になると、電子・ホールなどのキャリア散乱機構が変化し、結果、低温領域でゼーベック係数や抵抗率の温度依存性に違いが出てきます。ナノワイヤー熱電変換素子の輸送特性が3次元状態なのか、1次元状態なのかの違いを知る上で重要な理論研究となります。有効質量方程式による1次元量子熱電気物性の理論研究
熱電変換材料の特徴的な物理量であるゼーベック係数は、低次元状態に遷移すると大きく変化すると理論研究から明らかになっています。これは、1次元状態密度を仮定した上で、適切な境界条件の元、シュレディンガー方程式に基づいた有効質量方程式を数値的に解くことで得られる結果となります。加えて、真性条件からフェルミエネルギーも計算できます。これらの計算から得られた物理量から、抵抗率・ホール係数・ネルンスト係数などの物理量を予測し、1次元量子熱電気物性が理論的な立場からどのように変化するかを解明していきます。熱電変換による液化天然ガスならびに液体水素冷熱回収システムの検討
より工学的なアプローチとなりますが、熱電変換による熱回収は、液化天然ガスならびに液体水素など、室温より低い領域での冷熱回収を想定しています。ここで必要になる入熱流束,使用する熱電変換材料の特性,結果として得られる発電出力など、具体的な発電システムの検討を進めています。Mindstormを使ったロボット制作
小学校のプログラミング必須化が始まっていますが、やはり文字ベースのプログラムの敷居が高いのは事実です。本研究室でも、実験室での装置制御にLabVIEWを、研究室での理論計算などにはMathematicaなどを使っていますが、なかなか直ぐにプログラムの感触を得ることは難しいのが現実です。 LEGO社が提供するMindstormは、基本的なブロックパーツと各種センサーとモーターを使って、実際に動くロボットを作ることが出来ます。ここに使われているプログラミング言語は、LabVIEWを基本としたブロックダイアグラムで簡単に記述することができます。完全なプログラミング言語をマスターするというよりは、機械がどのように動いているか、プログラムの構造がどうなっているかを理解する第一歩としては最適です。 埼玉大学「科学者の芽・Jrドクター育成塾」の一環として、活動を進めています。戻る
Last Modified : 2024年7月21日 (日) 11:48 am