今日、我々は高度に技術化された社会に住んでおり、身の回りの環境を理解する必要に迫られている。環境問題の主役は化学物質であり、その性質や反応に関する基本的な原理を理解することは、環境問題を解決する第一歩であり、化学を学ぶ新しい態度の一つでもある。


−地球は化学システム−
産業革命以来、今からわずか200年前まで、地球はバランスのとれた状態にあった。植物は育ち、枯れ、腐食し、動物は生まれ、そして死ぬ。酸素と二酸化炭素は光合成や呼吸によって変換され、水は蒸発し、雨となって降り注ぐ。成層圏ではオゾンの生成と消滅が繰り返される。このような地球規模の循環が何万年にもわたって繰り返された結果、地球という巨大な化学システムには、バランス状態が成立したのである。産業革命当時2億人であった人口が、70億人にまで達し、人類はついにこの化学システムバランスに影響を与え始めた...。

−理解するための化学技術−
地球環境の問題を科学者が考えるようになって初めて、人類は地球という化学システムに対しあまりにも無知であることを思い知らされた。我々は、オゾンホールがなぜ南極に発生するのか、また、それが今後どのような速度で成長するのか、十分な知識を持っているわけではない。さらに、地球温暖化の主因とされている二酸化炭素の物質収支もつかめていないのだから、気温がいつ何度上昇するのか、正確な予測は不可能である。まして、森は、砂漠は、海はどのように変化していくのか、予測する手段を持たない。生化学過程である光合成、オゾンを生成する光化学反応、酸性雨の生成プロセスなど数限りない化学プロセスが、風に乗り、川の流れに運ばれ、海流に乗って進行する。この壮大で、しかも意外に不安定かもしれない地球というシステムを理解するのは、化学技術者に与えられた使命の一つである。

酸 性 雨光化学オキシダント越 境 汚 染化学物質の分布とその挙動汚染物質の循環過程の解明と予測


−制御するための化学技術−

化学システムである地球を技術で制御しようとすれば、その主要部分は化学技術が担わなければならない。また、人間活動を持続的に向上させるためには、生活環境においても地球環境同様、環境を理解し適切な制御を行うことが必要になる。新しい環境技術システムを実現可能にするのは、新しい技術や材料であろう。環境酸性化物質の固定化、バイオマス資源の有効利用、有害物質の分解処理技術、微量汚染物質の計測と制御など、これらキーテクノロジーは、地球環境や生活環境の改善ならびに環境負荷の低減に貢献する。

資源の有効利用環境浄化と負荷低減汚染物質の除去/変換光と反応活性種による空間制御キーテクノロジーの開発



地球環境から生活環境まで・・・

地球環境から生活環境まで、微量大気汚染物質の計測や制御、循環機構の解明、枯渇性資源の高効率利用や循環性バイオマスの資源化による汚染物質の環境負荷低減など、地球環境と人間生活の持続性向上を目指した研究開発を主として化学的な面からアプローチしています。是非、我々の研究を覗いて見て下さい。化学はどこまで環境問題に貢献できるのか?


私たちは高度に技術化された社会の中で、多くの化学物質に囲まれ活動している。そのため、環境問題の理解にとって、環境中における化学物質の循環過程を理解することは、最も基本的なことと言える。また、環境問題を理解するためには、環境インパクト化学物質(以下EICs)の発生制御とともに循環を制御する技術も必要とされます。

循環制御研究室では、地球環境といった超巨大空間から生活環境といった人間活動空間までを対象とした化学物質の循環機構の解明ならびに環境汚染の制御を究極の目標として、微量大気汚染物質の計測、大気環境学的な面からの物質循環、廃棄物の有効利用による環境負荷低減技術および資源高効率利用技術の開発、光を有効に利用できる汚染制御システムの構築、省エネ型生産循環の設計を意図した清浄空間の創出技術について、主として化学的な面から基礎研究ならびに応用研究に取り組んでいます。



主な研究概要


1. 環境汚染物質評価のための迅速分析手法の開発

2. フィールド観測による大気汚染粒子(PM2.5、PM0.1)の環境影響評価

3. 大気エアロゾルの生成機構解明と発生源寄与率の評価

4. 気液界面における反応活性を効果的に利用したVOC処理技術の開発

5. 促進酸化手法を用いた有害汚染物質の完全無害化処理

6. セルロース糖化手法の開発とバイオマス資源の有効利用


関口研究室トップページ 工学部応用化学科ホームページ 環境制御システムコースホームページ